2024.04.26発 ボツワナ・キャンプ チョベ国立公園徹底 11日間

そろそろ1年近くが経ってしまいましたが、2025年版の同ツアーへの出発を間近に控え、ツアーの細部の確認作業を行っており、昨年の同ツアーについても再検討していましたので、遅ればせながら改めてレポート的なものを書かせていただきました。
ツアーの進行・詳細については、ありがたいことに6名様のご参加者のうち3名様と一組の方々がレポートを書いてくださったため、そちらをご参考いただくとして、今回は企画担当者兼添乗員の目線でこのツアーの内容をご案内するとともに振り返ってみたいと思います。

朝イチでライオンの兄弟に遭遇、幸先の良いスタート
朝イチでライオンの兄弟に遭遇、幸先の良いスタート
じゃれ合うジャッカルの兄弟
じゃれ合うジャッカルの兄弟
夜通し活動していたのかお疲れの様子のハイエナ
夜通し活動していたのかお疲れの様子のハイエナ
夜は安全な中州で草をはみつつ過ごし、朝を迎えて岸に戻るバッファローの群れ
夜は安全な中州で草をはみつつ過ごし、朝を迎えて岸に戻るバッファローの群れ
何やら小さな獲物を捕らえた様子のシママングース
何やら小さな獲物を捕らえた様子のシママングース

現在の弊社のボツワナキャンプツアーシリーズは、①ゴールデンウィークのチョベ国立公園のみを(といっても広大な公園ですので、異なる3つのエリアでサファリを行います)訪問するもの、②夏の定番としてオカバンゴ・デルタ東部のモレミ野生動物保護区クワイ地区からチョベ国立公園を南北に縦断するように北上しつつ3か所に滞在してサファリをするもの、③北東端のカサネを起点に、ントウェトウェ・パン、クブ・アイランド、ナイ・パン国立公園、セントラル・カラハリ野生動物保護区、モレミ野生動物保護区クワイ地区、チョベ国立公園南部のサブティ地区、そしてチョベ川に面したリバーフロント地区と、時計回りの円を描くように周遊するサファリ+αの内容で長期のもの、④9月のモレミ野生動物保護区のみに滞在(同じくモレミ内で3カ所の異なるエリアを訪問&サファリ)するもの、そして⑤年末年始のボツワナ南西部カラハリ・トランスフロンティア公園を横断し、南アフリカに抜けるルートをたどりながらサファリをするもの、の計5種類を年間計画として企画・実施していますが、やっとこの形に整ったのは今年2025年でして、2024年に企画・催行したこのツアーはまだ実験段階に近い(といっても質の高いサファリが可能なのはわかっていましたが)ものでした。

朝日を浴びてリラックスの様子のチャクマヒヒ
朝日を浴びてリラックスの様子のチャクマヒヒ
サファリのメインエリアから遠く離れた水場で遭遇したライオンのプライド
サファリのメインエリアから遠く離れた水場で遭遇したライオンのプライド
朝はハゲワシたちものんびりしたご様子
朝はハゲワシたちものんびりしたご様子
群れの中まで連れ立って給水中のゾウたち
群れの中まで連れ立って給水中のゾウたち
夕日がホコリでかすむ中移動するバッファロー、チョベの川沿いらしい光景です
夕日がホコリでかすむ中移動するバッファロー、チョベの川沿いらしい光景です

オカバンゴやチョベの南部は、ロッジの宿泊費が全般的に高価なうえ、主要空港とロッジ間、及びロッジ間の移動は、基本的にはコストがかさみがちなセミチャーターのようなセスナ機を使っての空路が主となるため、ここを訪問先としたサファリツアーをロッジ泊の内容で企画しますとかなり高価なものとなり、添乗員同行であれば添乗員の宿泊費等の経費も相当なものとなります。加えて各ロッジの部屋数がどこも少なく、団体のツアーを行うには事前に部屋をツアー用に押さえておく必要がありますが、予約の段階で必要となる予約金は多くの場合、キャンセルしても返金されませんので、旅行会社としてはリスクが大きく、今では完全に個人手配向きとなってしまっています。変わらずグループでのツアーという形を維持しつつ、コストを抑えるため、というだけの理由ではありませんが(もちろん、ボツワナの手つかずの自然の中でのキャンプ自体がかなり素晴らしい体験だという面もあります)、弊社の場合ボツワナでキャンプツアーを企画する際は、移動式のテント泊(いわゆるモバイル・キャンプ)スタイルのものを昔から企画・販売してきました。

体を横たえて水浴び中だったゾウ
体を横たえて水浴び中だったゾウ
サブティに移動すると、チョベの川沿いではあまり見かけない種との遭遇も増えてきます
サブティに移動すると、チョベの川沿いではあまり見かけない種との遭遇も増えてきます
サブティエリアの王のうちの1頭、迫力があります
サブティエリアの王のうちの1頭、迫力があります
周囲ににらみを利かせつつ給水中
周囲ににらみを利かせつつ給水中
あちこち走り回ってやっと見つけたチーター
あちこち走り回ってやっと見つけたチーター
体を横たえていた樹上から降り、堂々とゆったりと歩いてゆくヒョウ
体を横たえていた樹上から降り、堂々とゆったりと歩いてゆくヒョウ
捕食者の気配を感じないのか、リラックスモードのシマウマの群れ
捕食者の気配を感じないのか、リラックスモードのシマウマの群れ
アフリカに生息する猛禽中最大級の大きさを誇るゴマバラワシ
アフリカに生息する猛禽中最大級の大きさを誇るゴマバラワシ
クドゥの良く動く大きな耳からは警戒心の強さがうかがえます
クドゥの良く動く大きな耳からは警戒心の強さがうかがえます
親子を中心とした群れで移動中のキリン
親子を中心とした群れで移動中のキリン

ロッジ泊、テント泊、それぞれに短所・長所はありますが、テント泊は全体的に不便だということは間違いありません。サファリ中に誇りを浴びたからといってお湯をジャバジャバ出して1日に2回も3回もシャワーを浴びることはできませんし、衣類も汚れやすいうえに水が貴重なためそうそう洗濯もできません。トイレやシャワーの設備もありませんので、自ら持ち込んで設置する必要があります。もちろんプライベートではなく共同です。プライベート空間はロッジの広い部屋内とは比較にならない狭いテント内ですし、寝床はふかふかのベッドではなく、簡易ベッド(コット)に寝袋を広げただけのシンプルなものです。お荷物もキャンプサイトは土の地面ですので、転がしにくいキャスター付きのバッグは不便ですし、移動の際は荷物をサファリカーの屋根上に収納しますので、ハードケースは破損しやすくご遠慮いただいているほか、荷物が大きいと積み下ろしやテントまでの運搬も大変ですので、できるだけコンパクトにまとめていただくようお願いしています。料理もコックさん一人で調理していますので、品数は多くなく、盛り付けや彩にこだわる余裕はありません。こう挙げますと、やはりキャンプでテント泊は不便です。
ですが、キャンプサイトは野生動物たちが暮らすフィールドのど真ん中、いつでも、どこでも野生動物や野鳥に遭遇するチャンスがあり、24時間常にサファリをしている状態といっても過言ではありません。「五感すべてでボツワナの自然を体感できる」とでも言いましょうか。夕食時にダイニングテーブルの上に枝を伸ばす木の上にフクロウがやってくることもありますし、皆さんがテントに入って寝静まった夜間には、昼間は滅多に見る音ができない夜行性の動物たちも頻繁にキャンプにやってきます。音の情報量が減る真夜中には、響き渡るオスライオンの咆哮、オスヒョウの咆え声や足音もよく聞きますし(ガイドはこの声が聞こえてくる方向・エリアを覚えておいて、残された足跡の情報と合わせて動きを読み、朝一のサファリはそちら方面から探しはじめます)、リカオンの群れが獲物を追いかけるバタバタという足音を聞くこともあるでしょう。加えて、毎回焚火の炎を巧みに使って調理するコックさんの料理は、安定しにくい焚火を使っているとは思えないほど手際よく、味もよく、そして常に温かい料理が食べられます。また、調理場がどこから見ても丸見えのため、屋外ですが実は衛生管理がしやすいということもあります。
今回のツアーも今まで同様に、未明のキャンプサイトで近くに聞こえたバタバタという狩りをイメージさせる足音を聞き、それを追跡してリカオンの群れにも出会えましたし、キャンプの夜には珍しくヤマアラシもサイトを訪れました。

こちらも探しまくってやっと見つけたリカオンのパック(群れ)
こちらも探しまくってやっと見つけたリカオンのパック(群れ)
未明にとらえた獲物で食事中でした
未明にとらえた獲物で食事中でした
21時頃サブティのキャンプに訪れたヤマアラシ
21時頃サブティのキャンプに訪れたヤマアラシ
ノガツァへの移動中、遭遇する動物は多くありませんが水場には多くのゾウが
ノガツァへの移動中、遭遇する動物は多くありませんが水場には多くのゾウが
夜の焚火はキャンプの必須アイテムです
夜の焚火はキャンプの必須アイテムです
サファリの最後を締めくくるチョベ川でのボートサファリ。水に目が癒されます。
サファリの最後を締めくくるチョベ川でのボートサファリ。水に目が癒されます。
小魚を捕らえて食事中のアフリカヘビウ
小魚を捕らえて食事中のアフリカヘビウ
モノトーンの渋い色合いですが、冠羽が美しいヒメヤマセミ
モノトーンの渋い色合いですが、冠羽が美しいヒメヤマセミ
陸上で草をはむカバには、おこぼれにあずかろうと常に数種の鳥がついて回ります
陸上で草をはむカバには、おこぼれにあずかろうと常に数種の鳥がついて回ります
母親が先導して渡渉中のゾウ
母親が先導して渡渉中のゾウ
今日もいつもと変わらず、チョベ川の向こうに夕日が沈んでいきます
今日もいつもと変わらず、チョベ川の向こうに夕日が沈んでいきます

キャンプに全く抵抗のない方、キャンプはどうしても嫌だという方、などなど感覚やお考え・お好みは人それぞれだと思いますが、「やったことないけど挑戦してみたい」というお気持ちがある方で、「意外と神経は太い方」、「自然や野生動物が大好き」という方は、こちらのゴールデンウィークのツアーだけ留まらず、ボツワナのキャンプツアーへのご参加を是非思い切ってチャレンジしてみていただきたいと思います。

■ボツワナ・キャンプ チョベ国立公園徹底 11日間

2025.03.03発 山形豪さんと行く タンザニア・ンドゥトゥ 写真撮影ツアー 12日間

タンザニア・ンドゥトゥ写真撮影ツアー12日間、今年は3月初旬の開催となった。まずンゴロンゴロで2泊、その後ンドゥトゥへ移動し5連泊、最後にタランギレ国立公園で一泊という充実した内容のサファリだった。

ンゴロンゴロ・クレーターは言わずと知れたタンザニアサファリの目玉であり世界自然遺産にも登録されている野生動物の宝庫。いつの時期に行ってもライオンやバッファロー、ゾウなどの大型動物たちで溢れかえっている。エキサイティングなサファリをスタートするには最高の場所だ。

雨季にあたるこの時期にセレンゲティ南端部のンドゥトゥ地区にわざわざ行くのは、大移動中のヌーたちが一斉に出産する場所とタイミングだからだ。従ってンドゥトゥとその周辺地域は辺り一面ヌーで溢れかえる・・・はずなのだが、近年地球温暖化の影響によって気候パターンの規則性がどんどん崩れており、雨を追いかけて暮らすヌーたちの行動もどんどん読みづらくなっている。で、今年はどうだったかというと、ンドゥトゥ近辺の雨の到来が遅かったためか、実はヌーがほとんどいなかった。小さな群れはいくつか来ていたのだが、大移動の本隊はまだまだ北の方にいたらしい。

その代わりと言ってはなんだが、肉食獣たちとの遭遇率が非常に高かったのが今回のツアーの特徴だった。連日ライオンやチーター、ブチハイエナ、キンイロオオカミなどに次々と出会い、ヒョウも一頭撮影できたほか、木に登るサーバルキャットまで撮ることができた。通常草むらの中で過ごすサーバルが木に登るというのは非常に稀で、個人的にはこれが今回一番のヒットとなった。

最後に訪れたタランギレはンゴロンゴロやンドゥトゥよりもずっと標高が低く、植生も藪が濃いため動物探しには苦労するが、ゾウの数は非常に多いのと、バオバブの巨木が至る所にそびえており独特の魅力を持った場所だ。また、今回は首尾よくシマウマを食べるライオンを目の前で見ることもできた。

メインターゲットだったはずのヌーの大移動は逃したが、雨季は動物たちの活性が非常に高く、毎日被写体に事欠くことはなかった。

展望台から見下ろすンゴロンゴロ・クレーター
展望台から見下ろすンゴロンゴロ・クレーター
クレーターはバッファローなど、野生動物で溢れている
クレーターはバッファローなど、野生動物で溢れている
ンゴロンゴロのオスライオンは立派なたてがみを持つことで知られている
ンゴロンゴロのオスライオンは立派なたてがみを持つことで知られている
美しい飾り羽を持つホオジロカンムリヅルのペア
美しい飾り羽を持つホオジロカンムリヅルのペア
おしゃれで快適なンゴロンゴロ・セレナロッジの部屋
おしゃれで快適なンゴロンゴロ・セレナロッジの部屋
部屋のベランダからは朝日とクレーターが見える
部屋のベランダからは朝日とクレーターが見える
ンドゥトゥ地区にヌーの大群はいなかったがシマウマはたくさんいた
ンドゥトゥ地区にヌーの大群はいなかったがシマウマはたくさんいた
雨の到来が遅く、ンドゥトゥ湖の水位もまだ低かった
雨の到来が遅く、ンドゥトゥ湖の水位もまだ低かった
シンプルだが居心地のいいンドゥトゥ・サファリロッジの部屋
シンプルだが居心地のいいンドゥトゥ・サファリロッジの部屋
ンドゥトゥ・サファリロッジの名物:オオブチジェネットの家族(スマホで撮影)
ンドゥトゥ・サファリロッジの名物:オオブチジェネットの家族(スマホで撮影)
ンドゥトゥ周辺では数多くのライオンたちに出会った
ンドゥトゥ周辺では数多くのライオンたちに出会った
雨上がりの朝、草むらでくつろぐライオン一家
雨上がりの朝、草むらでくつろぐライオン一家
7頭の子を抱えるプライド(群れ)は食い扶持も多いのでいつも獲物を探していた
7頭の子を抱えるプライド(群れ)は食い扶持も多いのでいつも獲物を探していた
幸せそうに眠るライオン兄弟
幸せそうに眠るライオン兄弟
早朝、ンドゥトゥ湖畔で仲間を探すメスライオン
早朝、ンドゥトゥ湖畔で仲間を探すメスライオン
小さな子を連れたチーター
小さな子を連れたチーター
ンドゥトゥ周辺の草原地帯はチーターの多いエリア
ンドゥトゥ周辺の草原地帯はチーターの多いエリア
木の枝でくつろぐヒョウ
木の枝でくつろぐヒョウ
サーバルキャットが木に登るのは珍しい
サーバルキャットが木に登るのは珍しい
シマウマの死骸を巡ってハゲワシと争うキンイロオオカミ
シマウマの死骸を巡ってハゲワシと争うキンイロオオカミ
ンドゥトゥは塩湖なので水がある雨季にはフラミンゴもやってくる
ンドゥトゥは塩湖なので水がある雨季にはフラミンゴもやってくる
キリンの背中でエサを探すキハシウシツツキ
キリンの背中でエサを探すキハシウシツツキ
湖畔の森の中で出会ったクロワシミミズクの若鳥
湖畔の森の中で出会ったクロワシミミズクの若鳥
満開の花を咲かせるアカシアの木にカメレオンがいた
満開の花を咲かせるアカシアの木にカメレオンがいた
ンドゥトゥは樹木も多く、ゾウたちにとってはいい環境だ
ンドゥトゥは樹木も多く、ゾウたちにとってはいい環境だ
サバンナの中での記念撮影
サバンナの中での記念撮影
川を渡るゾウの群れ。タランギレ国立公園
川を渡るゾウの群れ。タランギレ国立公園
藪の中でシマウマを貪るメスライオン。タランギレ国立公園
藪の中でシマウマを貪るメスライオン。タランギレ国立公園
タランギレ・サファリロッジの敷地内を寝ぐらにするアフリカコノハズク
タランギレ・サファリロッジの敷地内を寝ぐらにするアフリカコノハズク
雨季のサバンナをゆくマサイキリン。タランギレ国立公園
雨季のサバンナをゆくマサイキリン。タランギレ国立公園

■自然写真家 山形 豪さんと行く 自然写真撮影ツアー

2024.08.23発 ヌー大移動の季節 マサイ・マラで徹底サファリ 10日間

150万頭とも200万頭とも言われるヌーの大群は、ケニアのマサイ・マラとタンザニアのセレンゲティの間を1年かけて1周、草を求めて大移動を行います。そして8月頃、ヌーがマサイ・マラに移動してくるこの時期に行われるのが、有名なヌーの川渡りです。道祖神では、今年もこの時期にマサイ・マラでサファリに特化したツアーを実施しました。果たしてツアー催行中、ヌーの大群はどこにいるのでしょうか?川渡りは見られるのでしょうか?肉食獣やビッグ5達は姿を見せてくれるのでしょうか?

ナイロビ~マサイ・マラ国立保護区

あいにくの曇り空のなか、サファリ旅行はスタート。それでも、大地溝帯に差し掛かると、少し明るくなり、綺麗な景色を見ることができました。足元には、イワハイラックスの姿も。マサイ・マラに到着すると、早速午後からサファリを開始。ゾウのファミリーと遭遇し、至近距離で写真を撮る事ができました。

大地溝帯の景色。
大地溝帯の景色。
早速出会った、ゾウのファミリー
早速出会った、ゾウのファミリー
かなり近い所から撮ることができました。
かなり近い所から撮ることができました。

この日は、鳥類を多く見かけました。アフリカハゲコウの集団に始まり、カエルか何かをハンティング中の(そしてどこか悲しそうな)アカガオジサイチョウ、ダチョウ、どこにいても絵になるライラックニシブッポウソウ等です。そして、さらにサファリの終了間際に、ライオンのファミリーを見つけることもできました。体の斑点からして、まだ小さな子供もいる様です。残念ながら熟睡中で、起き上がることはありませんでしたが、明日以降に期待です。

いつ見ても不気味な、アフリカハゲコウ
いつ見ても不気味な、アフリカハゲコウ
悲しそうですが、そうではないはず。ハンティング中のアカガオジサイチョウ。
悲しそうですが、そうではないはず。ハンティング中のアカガオジサイチョウ。
いつ見ても美しい、ライラックニシブッポウソウ。
いつ見ても美しい、ライラックニシブッポウソウ。
ぐっすりお休み中のライオン達。
ぐっすりお休み中のライオン達。

まずは、マラ川へ

サファリ2日目。今日は早朝からサファリを行います。何もないサバンナから、朝日がひっそりと浮かんできました。この日はヌーの川渡りで有名な、マラ川を中心にサファリを行います。キリンやシマウマ等の草食動物を横目にサバンナを進むと、昨晩狩ったというヌーを食すオス3頭と、メス複数頭のライオンのグループに遭遇しました。運よく、顔を上げるオスや歩き回るメスの写真を撮影することができました。

サバンナに浮かぶ、まん丸の朝日。
サバンナに浮かぶ、まん丸の朝日。
貫禄のあるライオンのオスとメス。
貫禄のあるライオンのオスとメス。

一方、川に到着するも、ヌーの影はなく、カバや野鳥がいるのみでした。ちょっと前に同じくマサイ・マラでサファリをしたというサファリ・ガイドは、その時は川渡りをしっかり見られたという事なので、ヌーのいくつかのグループが川を渡って行った直後だったのかもしれません。従って、この日はヌーを諦め、その他の動物を探します。すると、まだ小さい子供のキリンや、子連れのトピのファミリーを見ることができました。

マラ川でみつけたカバ。
マラ川でみつけたカバ。
まだまだ小さい、キリンの子供。
まだまだ小さい、キリンの子供。
薄暗くなって、移動中のトピのファミリー。
薄暗くなって、移動中のトピのファミリー。

ヌーを追いかけ、セレンゲティ国立公園(タンザニア)ボーダーへ

マラ川周辺にヌーの姿はなく、マサイ・マラを南下し、タンザニアのセレンゲティ国立公園とのボーダーに向かいます。キリンやアフリカクロトキ等を横目に進むと、ガイドから木の上を見る様にとの合図。視線を上に送ると、樹上にはインパラのメスか、比較的直近にハンティングされたと思しきアンテロープの死骸が残されていました。ハンターはヒョウであることは間違いないので、ヒョウを探して広大なサバンナでのサファリを始めます。そして、セレンゲティ国立公園とのボーダー付近に到着すると、ヒョウではありませんが、遂に見つけました。今回の主役であるヌーの群れです。恐らく、マラ川での川渡りを終え、セレンゲティに向かおうとする群れの一部でしょう。どこにいるのかと思っていましたが、ようやく、その一部を捉えることができました。ただ、近くに川はないので、残念ながら川渡りは期待できず、その場を後にします。

そして、その後も、ヒョウをメインのターゲットに据え、サファリを続けます。すると、やはり諦めないと良いことがあるものです。一念岩をも通すと言わんばかりに、木の上で休むヒョウを見ることができました。我々が見た獲物をハンティングした個体ではないかもしれませんが、ターゲットの動物を間近で見ることができました。

朝日を待ちわびていたかのように佇むキリンたち。
朝日を待ちわびていたかのように佇むキリンたち。
ごくごく最近ヒョウにハンティングされてしまった様です。
ごくごく最近ヒョウにハンティングされてしまった様です。
ようやく追いついたヌーの群れ。
ようやく追いついたヌーの群れ。
すやすや眠るヒョウ。気持ちよさそうです。
すやすや眠るヒョウ。気持ちよさそうです。

マラ西部からマラ東部へ

これまで、マサイ・マラ西部のロッジに宿泊していましたが、この日、マサイ・マラ東部のマラ川沿いに位置するテント型ロッジに移動します。高台の美しい景色ともお別れをし、一転、川沿いのロッジに宿泊します。

ロッジからの景色。双眼鏡で平原にいるライオンも見られたそう。
ロッジからの景色。双眼鏡で平原にいるライオンも見られたそう。
ロッジからマラ川を望む。
ロッジからマラ川を望む。
川にはカバの姿も。
川にはカバの姿も。

サファリを開始すると、早速ライオンのファミリーを発見。オスはいませんでしたが、小さな子供を連れています。うまく車を先回りさせることができたので、目の前をライオンのファミリーが歩いていきました。そして、サファリを続けると、やはり小さな子供を連れたゾウのファミリーにも遭遇しました。やはり、子供は可愛いですね。そして、泥水に浸かりつつスヤスヤ眠るハイエナにも遭遇。

子ライオン。メスのライオン達の後を追っていきます。
子ライオン。メスのライオン達の後を追っていきます。
子ゾウ。こちらもメスのゾウ達の後をしっかり追っていきます。
子ゾウ。こちらもメスのゾウ達の後をしっかり追っていきます。
ハイエナも、こういう姿は可愛いです。
ハイエナも、こういう姿は可愛いです。

午後のサファリでも、しっかり動物を見ることができました。木陰で休むヒョウ。水を飲むキリン。そして、夕方頃には、木の下で仲良さそうに眠るライオンのオス2頭と遭遇しました。兄弟でしょうか。

日陰で休むヒョウ。近くの木には仕留めた獲物が置かれていました。
日陰で休むヒョウ。近くの木には仕留めた獲物が置かれていました。
キリンの水飲み。かなり周囲を警戒しながら、恐る恐る水を飲んでいました。
キリンの水飲み。かなり周囲を警戒しながら、恐る恐る水を飲んでいました。
オス・ライオンの昼寝。豪快な寝相です。
オス・ライオンの昼寝。豪快な寝相です。
もう日は傾いていますが、動き出す気配はありません。
もう日は傾いていますが、動き出す気配はありません。

狙いをチーターへ

サファリを開始し、まずは木に留まるアオサギや川でハンティング中のアフリカトキコウを発見。暫く進むと、トピの親子とも遭遇しました。昨日に引き続き、子供をしっかりと見ることができました。そして、その先を行くと、サバンナで遠くを見つめている一頭のメス・ライオンと遭遇。付近に他のライオンや草食動物などはいませんでしたが、どこか一点を見つめているようでした。

木の上で堂々と構えるアオサギ。
木の上で堂々と構えるアオサギ。
顔いっぱい水に浸かりそうなアフリカトキコウ。
顔いっぱい水に浸かりそうなアフリカトキコウ。
仲睦まじいトピの親子。
仲睦まじいトピの親子。
キリっとした表情のメス・ライオン。ハエにたかられています…。
キリっとした表情のメス・ライオン。ハエにたかられています…。

ただ、今回のサファリでまだしっかり見られていない動物がいました。それがチーターです。その為、午後はチーターを探してサバンナを疾走します。すると、午後遅めに、ようやくチーターの元へ辿り着きました。それも、5頭のグループです。さらに、道沿いで休んでいた為、かなりの至近距離から観察することができました。実は、このあと動き出すかな、という期待もあり暫く粘っていたのですが、結局夕方になってもこの場を離れることはありませんでした。チーターをたっぷり観察し、今日のサファリは終了。ロッジに到着すると、サバンナの向こうに、燃えるような夕日が落ちていきました。

ようやく出会えたチーター達。
ようやく出会えたチーター達。
暑いのか車の陰に入ります。
暑いのか車の陰に入ります。
陸上最速なだけあり、かなり締まった体をしています。
陸上最速なだけあり、かなり締まった体をしています。
キョロキョロと周りを伺うチーター。
キョロキョロと周りを伺うチーター。
日が暮れる前に、サファリは終了となります。
日が暮れる前に、サファリは終了となります。

再びマラ川とその支流へ

早朝からサファリをスタート。すると、まずは珍しいことに、陸上を歩くカバを発見。早朝のサファリだからこそ見られるもので、早起きした甲斐がありました。その後も、ゾウのファミリーやライオンを見つつ、マラ川に向かいます。川に到着しますが、やはり、ヌーの姿はありませんでした。後から聞いた話ですが、この2週前まで、そしてこの翌週、マラ川でヌーの川渡りが見られたということでした。従って、今年のツアーは運悪く、ヌーのグループが川を渡りセレンゲティ側に移動し、また別のグループが川を越えにやってくる間の時期と重なってしまったのかもしれません。残念ですが、それが自然や野生動物というものなのかと思います。

早朝のカバ。川に戻る途中でしょう。
早朝のカバ。川に戻る途中でしょう。
子ゾウ。一生懸命、草を食みます。
子ゾウ。一生懸命、草を食みます。
こちらを見るメス・ライオン。昨日と違い、ハエはおらずきれい。
こちらを見るメス・ライオン。昨日と違い、ハエはおらずきれい。
マラ川。カバやクロコダイルが見られました。
マラ川。カバやクロコダイルが見られました。

気を取り直し、サファリを続けます。昼食はサバンナでのピクニック・ランチ。ここまでは普段通りと言って良いでしょう。しかし、この日はまさにお弁当を食べ始めたところ、1台のサファリカーがやって来て、「ライオンがこっちに来るぞ」と教えてくれました。すると僅か数十秒後、メスのライオンが1頭100mくらい先を歩いているではありませんか。最初は通り過ぎるのを待とうと思っていましたが、間髪を入れず、ライオンが2頭、3頭、4頭とどんどん集まってきました。さらにオス・ライオンも登場した為、昼食どころではありません。全員サファリカーに戻り、ライオン達が通り過ぎるのを待ちました。ライオンは暫くすると、また歩き出し、サバンナの向こうへ消えていきました。

サバンナでのピクニック。最高に贅沢な時間です。
サバンナでのピクニック。最高に贅沢な時間です。
この後、向こうにライオンが…。
この後、向こうにライオンが…。
通り過ぎたライオンを少し車で追いかけました。
通り過ぎたライオンを少し車で追いかけました。
オス・ライオン。近くで見るとやはり迫力があります。
オス・ライオン。近くで見るとやはり迫力があります。

午後、マラ川の支流に向かい、ヌーを探しますが、やはりこの辺りにも来ていませんでした。前述の様に、今年のツアーは、移動するヌーの群れの間にあたってしまった様で、ヌーの川渡りを目撃するチャンスはありませんでした。しかし、ライオンは毎日の様に見られましたし、ヒョウも近い距離から、何の障害物もない状態で写真を撮影することができました。さらにチーターに至っては、数メートルの距離から、1時間以上に渡って、のんびりと観察することができました。そういう意味では、良いサファリだったと言えるのかもしれません。

最後に、マラ川の支流で最後のサファリをしました。そこで、私たちへの餞別か、キリンのファミリーが一直線になって、我々の目の前で、テクテクと川を渡って行くではありませんが。キリンの川渡りとでも言えるでしょうか、珍しい光景です。

本当に、サファリでは予想のできないことが沢山起こります。時として、残念なことや、期待外れのこともありますが、それらを含めて、あるがままの自然や野生動物の姿を楽しむのが、サファリなのかと思います。またいつか、是非戻ってきたいと思う旅でした。

珍しい、キリンの川渡り。
珍しい、キリンの川渡り。

■ヌー大移動の季節 マサイ・マラで徹底サファリ 10日間

2025.02.01発 山形豪さんと行く 緑の季節のマシャトゥ 自然写真撮影ツアー 9日間

毎年恒例となっている2月のボツワナ、緑の季節のマシャトゥ動物保護区自然写真撮影ツアー、今年は1日〜9日の日程での開催となった。去年のボツワナは大旱魃で大きな被害が出ていたが、今年の雨季は一転、かつてないほどの大雨が降り続いたおかげでマシャトゥ全域は緑で溢れ、普段は枯れている川も水で一杯だった。

雨季は単に雨が降るだけではなく、水が突然増えることによる環境の激変が起きる時期だ。最初の大雨直後であればハマビシの黄色い花が辺り一面咲き乱れていたはずなのだが、今回はタイミングが2週間ほど遅かった。その代わりバッタなどの昆虫が大発生したタイミングだったため、それらを狙って数多くの鳥たちがやってきていた。特にシュバシコウ、アオハシコウ、アフリカハゲコウといったコウノトリ類が物凄い数いたし、アシナガワシのような比較的珍しい猛禽も撮ることができた。いずれも渡り鳥なので、乾季にマシャトゥで彼らを見ることはない。

緑が多いということは草食獣たちにとっては子育てをするのに絶好の条件なわけで、インパラやヌーの多くが生まれて間もない赤子を連れていた。そして肉食獣にとっては捕らえやすい獲物が突然増えることを意味する。普段ライオンやチーターのおこぼれを狙うか、小鳥や爬虫類などを捕らえているセグロジャッカルまでもがインパラの子を追いかけていた。彼らがあのように本気で走る姿を見たのは初めてだった。

マシャトゥは大型肉食獣の数が多いことでも知られており、今回もライオン、ヒョウ、チーター、ブチハイエナは問題なく撮ることができた。特にヒョウに関しては、誰がどこに縄張りを作っているかまで常時把握されているので、毎回複数の個体に出会うことができる(今回は4頭だった)。マシャトゥに通い始めて今年で15年目になるが、ヒョウに出会えなかったことは一度もない。一方チーターはテリトリーではなくホームレンジと呼ばれる広大なエリア内を放浪しながら暮らすのでいつも出会えるわけではないが、首尾良く4頭の子を含むチーター家族に、それも美しい光の中で遭遇した。

マシャトゥはいつ行っても実に楽しい場所だが、特に雨季は動物たちのコンディションが良く、活性の高さも際立っているので撮影条件は非常によいと常々感じている。

雨が良く降り緑豊かなマシャトゥの川辺
雨が良く降り緑豊かなマシャトゥの川辺
マシャトゥはアフリカゾウの数がとても多いことでも有名
マシャトゥはアフリカゾウの数がとても多いことでも有名
はるばるヨーロッパから渡ってきたシュバシコウ
はるばるヨーロッパから渡ってきたシュバシコウ
生まれて間もないインパラの子供がたくさんいた
生まれて間もないインパラの子供がたくさんいた
インパラの子を全力で追うセグロジャッカル
インパラの子を全力で追うセグロジャッカル
夕暮れ後に出会ったライオン親子
夕暮れ後に出会ったライオン親子
巨大なマシャトゥの木でくつろぐ若いオスのヒョウ
巨大なマシャトゥの木でくつろぐ若いオスのヒョウ
遠くにいる草食獣が気になるヒョウ
遠くにいる草食獣が気になるヒョウ
早朝、寝ぐらに戻る前のブチハイエナ
早朝、寝ぐらに戻る前のブチハイエナ
日没直前、インパラを貪るチーター親子
日没直前、インパラを貪るチーター親子
大サバンナを見下ろしながら酒を飲むのもマシャトゥの楽しみ方の一つ
大サバンナを見下ろしながら酒を飲むのもマシャトゥの楽しみ方の一つ
バオバブの木の前での集合写真
バオバブの木の前での集合写真

■自然写真家 山形 豪さんと行く 自然写真撮影ツアー

2024.11.16発 ケニア、ジンバブエ、ナミビア、南アフリカ周遊ハネムーン

2024年11月16日発のハネムーン手配旅行でケニア、ジンバブエ、ナミビア、南アフリカに行かれた、ポニョ様からのレポートです。

私はかねてから、「アフリカで朝日と夕日が見てみたい」、「大地を感じたい」、「砂漠の静けさを感じたい」と思っており、新婚旅行の候補にアフリカを希望していた。旦那の友人が2名も(それもハネムーンで!) 道祖神さんにお世話になったと聞き、リモートで打ち合わせをすることに。休める時期、日数を相談しつつ、見たい動物や行きたい場所の話までみっちりと。気づけばアフリカ以外考えられなくなっていた。夫婦の希望を詰め込んだ旅行を企画して頂き、今でも思い返す貴重なハネムーンとなった。

1日目

関空からナイロビ空港へ。長時間のフライトに身構えていたが、エミレーツ航空の手厚いサービスのおかげで快適に過ごすことが出来た。飛行機の天井に星空が登場する遊び心に旅のテンションは高まる。経由地のドバイには4時間ほど滞在できたので、空港内を散策。1億ドルが当たる宝くじに惹かれたが、一口500ドルと聞き断念……。どなたか挑戦してほしい。

ナイロビ空港では、フェスタスさんとジョンさんが出迎えてくれた。心なしか強く感じる日差し、沢山の車と人でアフリカに到着したことを実感。お二人は英語と日本語を交えて、ホテルまでの道中でケニアのことを紹介して下さった。途中、スーパーマーケットによってケニア産のお酒やチョコレートを購入。ウガリの元になる粉の大きな袋を見たり、惣菜コーナーを覗いたりと早くも現地の食文化に触れることができた。オレ・セレニ・ホテルは非常に清潔で食事も美味しく、快適だった。館内のインテリアが気に入り、この旅のお土産探しのヒントにしよう、と夫婦で盛り上がった。

空港のターミナル。想像以上に都会的。狩りをするチーターのモニュメントがお出迎え。
空港のターミナル。想像以上に都会的。狩りをするチーターのモニュメントがお出迎え。
ホテルからの粋なサプライズ
ホテルからの粋なサプライズ

2日目

ジョンさんのお迎えでマサイ・マラ国立保護区へ。長時間のドライブも、町の様子やサファリのことを話していたらそれほど気にならない。空港からホテルまでの景色から一変して、いわゆるアフリカっぽい景色(牛を追う子供、カラフルな建物、路上に溢れる人など)が見られケニアの多彩さに気づかされる。

車からの景色。カラフルな家とごちゃっと積まれたタイヤ。
車からの景色。カラフルな家とごちゃっと積まれたタイヤ。

途中のトイレ休憩で立ち寄ったお土産屋で気に入ったものを見つけ、価格交渉に挑戦。日ごろ値段が付いたものしか買わないので何が正解か分からない。悪戦苦闘しながらお会計を終えると結構な時間が経っていた。夕方にサファリが控えているのだから時間管理をしなくてはいけなかったな、と反省。

保護区に入ってすぐにシマウマやガゼルに遭遇し、「とうとうサファリに来たんだ!」と感動。と同時に、無心で草を食べる彼らにとってはこれが日常なんだな、と思うなど興奮と冷静さが同居する不思議な感覚を持った。サファリの草むらは日本と同じ匂いがした。ロッジで昼食後、少し休憩して夕方のサファリへ。大本命のチーター(しかも家族)を見つけて、出来るだけ近づいてくれるジョンさん。我々しかいないため、見たい動物は飽きるまで見せてくれる。車の天井を持ちあげてイスの上から望遠鏡で覗くと、毛づくろいをしている様子が良く分かる。その後はライオンも夕日も見られて大満足の1日だった。

毛づくろい中のチーター家族
毛づくろい中のチーター家族

3日目

この日はお弁当を持って夕暮れまでみっちりサファリを楽しんだ。せっかくだからBIG5を制覇しようとなり、ヒョウを探しに。ヒョウは木の上にいることが多く見つけるのが難しいそうだが、子供が母親とじゃれて木の下から川辺あたりを行ったり来たりしていて見つけることができた。チーターよりも大柄で肉厚な、セクシーな印象。ゾウの親子の水浴びやヌーの大移動で有名な川も案内してもらった。川にはワニがいて、大移動でやってきたヌーを食べるそう。1匹食べれば1年越せると聞いてワニの生命力の高さに驚いた。お昼は木の下にテーブルを出して、お弁当を広げた。サファリに足を着けられる日が来るなんて、と興奮。そして何よりも、ジョンさんと仕事や家族について話した時間がとても有意義で忘れがたいものだった。ケニアに今ある価値観、それに対するジョンさんの考えを聞いてどう感じたか話して、また話が広がって、とガイドとお客の関係を超えて人として繋がることができたように感じた。広大なサバンナを見ながらこんな話をしてるなんて人生って感じだな~と思ったのをよく覚えている。

ライオンを囲むジープ
ライオンを囲むジープ
青空の下でランチタイム
青空の下でランチタイム

午後はクロサイを狙って移動。道中で水牛の群れにも遭遇した。クロサイは従来の慎重な性格と、乱獲によって数が減っているため滅多に見られないそう。無事目撃したのだが、サイ自体をあまり見た記憶がないからか見つけた感動よりも、あれがクロサイかという新たな知識を得た感が強かったのも個人的には面白かった。

凛々しい雄ライオン
凛々しい雄ライオン

夜はロッジのバーの方が勧めてくれたダワー(スワヒリ語で薬という意味らしい)というカクテルを頂く。レモンと蜂蜜をウォッカで割ったもので、この旅で一番お気に入りのドリンクとなった。

4日目

今日でサファリは最後。あわよくばチーターが走る姿を見て、ライオンの鳴き声が聞きたいと伝えるも、狩りは早朝や夜中が多く、ライオンが吠えるのも縄張りの主張のためなので夜中のことが多く難しいだろうね、とのこと。少々落ち込むも期待するのはタダだしな、と思っていたところジョンさんのおかげでどちらも奇跡的に遭遇することができた。昨日とは別の場所にいたチーター親子を見つけ、見やすい位置に車を停車。何度見ても美しいモデルのような小さな頭、すらっとした肢体。草むらにごろりと横たわる様子は一見可愛くも見えるが、ひとたび目が合えば印象はガラリと変わる。射すくめられるような迫力があるのだ。しなやかに変化するチーターの表情や動きに目を奪われ観察をしていると、どうやら2匹が移動するらしいぞ、今から狩りをするかもしれない、と言われ後を追う事に。慎重に獲物との距離を縮める2匹。こちらも注意深く見ていないと見失ってしまうほど草木に溶け込んでいる。パッと飛び出して獲物へ一直線――残念ながら失敗に終わった。意外だったのが、チーターも狩りに失敗するのだという事。インパラは歩幅も大きく、十分な距離があれば逃げ切れるようだった。あきらめが早いのにも驚いたが、これは体力を温存するためとか。効率良く無駄なく生きている姿が印象的だった。肉食動物は草食動物の群れを観察して、年老いたものや病気があるものに狙いを定めるとジョンさんから聞いた。命を次世代につないでいくことが最も大事な野生動物において、老い先短いもの・繁殖能力の低いものから狙われ死んでいくことは、群れにいる他の命を助ける、意味のある死でもあるんだな、と感じた。ただ生きてるだけに見えた動物たちの世界が合理的な秩序の上に成り立っていると知って、自分の世界が少し広がった気がした。

奇跡的にチーターが目の前に来てくれた!
奇跡的にチーターが目の前に来てくれた!
射すくめられる迫力があるチーター
射すくめられる迫力があるチーター
寝転がるとかわいい
寝転がるとかわいい

5日目

初日のホテルに向けて朝から移動。ティピリクワニ・マラ・キャンプとはお別れ。食事はどれも美味しく(メインをケニア料理か西洋料理どちらにするか選べたのも良かった)、最終日まで飽きることはなかったし、部屋も隅々まで快適で想像以上にリラックスできた。帰り道の路上には子供が多くいるように感じられ、進学率や出生率について話した。妊娠、家の手伝い、周りの友達につられて通学を辞めてしまうなどで、大学進学率は1%程度だそうだ。一方で大学に通って都市部で働く人々は段々と子供を持たなくなっているらしい。日本と違うところと似ているところ。ケニアはこれからどんな運命を辿るんだろう、と思った。ホテルに到着すると疲れていたのかすぐに寝てしまった。

一番お気に入りのフライドチキン
一番お気に入りのフライドチキン

6日目

早朝にホテルを出発し空港へ。ジョンさんとの別れは意外とあっさりで拍子抜けしたが、これが旅だよな、と思った。ここからヴィクトリアフォールズ空港へ。到着してもなかなか人が降りず後方席の我々も座って待つことに。清掃員が来て掃除が始まったので、海外は乗客が降りる前に掃除を済ませるんだな、効率が良いのか悪いのか分からないなと思っていたところ、急に添乗員に名前を呼ばれ訳も分からず飛行機を降りた。よくよく話を聞くと、我々が載っていた飛行機はケープタウンが最終目的地でヴィクトリアフォールズ空港では4名しか降りないそうだ。そんな電車みたいに途中下車する前提の飛行機があるなんて、と人生で初めての出来事に驚くとともに、とてつもない海外旅行っぽさにわくわくした。早く仕事を終えたいのであろう税関職員のプレッシャーも気にならないほど新鮮で面白い出来事だった。

その後は送迎車に乗ってホテルへ。非常に高級感のある素敵なホテルで、ユーモラスなマネージャーがチャーミングだった。お祝いのシャンパンも冷蔵庫の飲み物も全部飲んで良いよ!という太っ腹ぶりに感動。ヴィクトリアフォールズから立ち上る水煙をベランダから眺めながら身支度をして滝へ。久々の歩いての観光、運動に充実感を覚えつつ、徐々に火照る身体。滝のゴゴゴという音を聞きながらビュースポットを巡り、所々で滝の水蒸気を浴びる。昨日までとは違うアドベンチャーにときめいて、残り2つの滝も見に行こうね、と約束した。滝を見た後はホテル裏にあるアートマーケットを散策したり、観光客でにぎわう店で夕食を取ったりした。夕食を注文した後に大雨と雷が落ちて店が停電。いつ復旧するかも分からないと言われ、ろうそくの炎の中で食事をすることなったのも、停電でも作れるメニューに変更してくれと言われたのも面白くて海外旅行の醍醐味が凝縮された一日だった。

徒歩15分くらいでヴィクトリアフォールズに到着
徒歩15分くらいでヴィクトリアフォールズに到着
とてつもない水しぶきの量。虹も見られた!
とてつもない水しぶきの量。虹も見られた!

7日目

朝食後に昨日のアートマーケットをふらふらしていたら、運命的な出会いをしたので思い切って絵を購入。玄関に飾って毎日眺めるほど気に入っている。飛行機でウィントフックへ。これまでの2か国よりも建物や道路が整っている印象。ホテルはこの旅の中で一番質素でザ・ホステルという感じ。ホテル近くなら歩いても大丈夫とのことだったので、近くのスーパーへ。虫のお菓子が売っていて驚いた。土曜日は午後からお酒の販売が出来なくなるらしく、泣く泣く購入を断念。ホステルに併設されたレストランでラグビーの試合を観戦しながら夕食を取ったが、気づかぬうちにエスカルゴを頼んで完食していた……。

スーパーで見つけた虫のおかし
スーパーで見つけた虫のおかし
気づかず食べていたカタツムリ
気づかず食べていたカタツムリ

8日目

ナミブ砂漠のガイドとロビーで待ち合わせ、出発。ダメ元で有名な高台にあるホテルを見たいと言ったら立ち寄ってくれた。レンガ造りの精巧な建物が多く、全体的にヨーロッパ色が強いと思っていたら旧ドイツ領とのこと。占領国の特性が出るのは興味深いと思う反面、生活の隅々にまで根付くほどの支配だったのかと思うと複雑な気持ちに。ロッジまでの道中は後半から映画でしか見たことがないような岩と砂ばかりの道で、アップダウンも激しく、ジェットコースターのようなスリルを味わえる。(乗り物酔いのしやすい方は注意)

高台のホテルからの眺め
高台のホテルからの眺め

ロッジは砂漠にあるとは思えないほどお洒落で快適。空調もWi-Fiも問題ない。水道をひねった直後は水が熱くて驚いたがしばらくすれば冷水に変わる。日中は40℃以上になるので出歩けないが、ホテルのプールで泳ぐのもまた一興。砂漠のプール!なんて贅沢!と思いながら出たり入ったりを繰り返した。夕方ごろから夕日見物へ。ガイドに砂丘のふもとまで連れていってもらう。初めて登る砂丘の感覚に四苦八苦しながら、展望の良さそうな場所を目指す。日の入りの方角的に地平線に沈む夕日は見られなかったが、砂丘を自由に探索できただけで大満足。少ししっとりした赤茶色の砂。砂嵐。風で出来た波打つような砂の模様。憧れていたものが沢山溢れていて胸がいっぱいだった。ロッジに戻って日没の空を観察してから夕食を食べた。時間とともに変わる空の色がどれも美しかった。夕食はビュッフェで、色々な動物の肉をその場でBBQ調理してくれる。虫のおかずもあって恐々挑戦。味は……ぜひ現地でお確かめください。砂漠に面したテラス席をゲットしたので、満点の星を見ながらのディナーとなった。砂漠の夜は冷えるのでフリースとダウンベストが欠かせなかった。

砂漠のプール。極楽。
砂漠のプール。極楽。
夕日で赤く染まるナミブ砂漠
夕日で赤く染まるナミブ砂漠
日没と夜の間の空
日没と夜の間の空
右下が虫のおかず。味は……。
右下が虫のおかず。味は……。

9日目

日の出を見るために早朝にデッドフライへ。朝日に染まる砂丘がピンク色に見えた。デッドツリーという立ったまま枯れている木を鑑賞。時間が経っても立ち続ける木もさることながら、全ての音が消え去ったような静かな空間に圧倒された。木からは香木のような良い匂いがした。いくつか砂丘を見学したあと、デューン45に登った。砂に足を取られないように足元を見ながら歩いていると、気づけばかなり高いところまで登っていた。歩幅程度の広さしかない道なき道、勿論手すりもなく踏み外せば砂の斜面を滑り落ちるかもしれない。一気に怖くなって固まる私。降りたくても方向転換ができない。震える気持ちを奮い立たせて、90度回転しながら景色を目の端に捉える。本当に砂しかないんだ。あと半回転。ビューっと吹き付ける風の音が聞こえる。へっぴり腰でなんとか地上に戻ってきた。砂丘を乗り越えて反対側から戻って来る人もいて、私にもう少し勇気があれば、と残念に思った。

朝日に染まる砂丘。
朝日に染まる砂丘。
デッドツリー。音が消えたかのように思える静かな場所。
デッドツリー。音が消えたかのように思える静かな場所。
風でできた砂の模様
風でできた砂の模様
デューン45。遠くに見える黒い点が人。
デューン45。遠くに見える黒い点が人。

ウィントフックへ戻る間にガイドのMCと同い年だと判明し、一気に打ち解けた。もっと早くから自己開示したらよかったな、と反省しつつ気づけば夕食を一緒に取ることに。観光客に一番人気というレストランに連れて行ってくれるという。動物のはく製や昔の地図などが所狭しと並んでいて、さながらテーマパークのよう。料理はサラダにBBQ(シマウマやワニなど変わり種あり)もハンバーガーもなんでもあった。まずは生ビールで乾杯。仕事や恋愛のことを話して、文化や当たり前の違いに驚いて……学生時代の留学生との飲み会を思い出す楽しいひと時だった。ビール1杯くらいならこの国では飲酒運転にならない、という彼の言葉を信じてホテルに送ってもらった。別れは寂しかったが、それ以上に良い出会いに恵まれたことが嬉しかった。

10日目

最後の目的地ケープタウンへ出発。あいにくの強風でテーブルマウンテンまでのケーブルカーが休止しており、ウォーターフロントとタウンの散策に変更した。ウォーターフロントにはお洒落なレストランやお土産屋が立ち並び、今までとは違う都会的な雰囲気に新鮮さを覚える。肉料理に飽きていた私は、念願のシーフードと白ワインのマリアージュに早くも夢見心地。港に泊まるヨットや美術館を楽しんだ後は、ボカープ地区まで散歩した。街中も比較的安全そうだったが、所々緊張感のあるエリアもあったため人通りの多い大通りを選んで歩く。ボカープ地区には色とりどりの壁をした家が立ち並んでいて、どこで写真を撮っても絵になった。パレスチナ問題に対する主張が書かれた壁もあり、しばし国際問題に思いを馳せる。ウォーターフロントは夜間も出歩けたので、夜景を見ながら久々の夜遊びを楽しんだ。

ウォーターフロントの入り口。美しい街並みにテンションアップ。
ウォーターフロントの入り口。美しい街並みにテンションアップ。
色とりどりの壁
色とりどりの壁
夜景も綺麗
夜景も綺麗

11日目

最終日は、ケープ半島を堪能できる乗り合いツアーに申し込んだ。我々以外の3組は、偶然にも全員イギリスから来ているとのことだった。アットホームな雰囲気に日本のバスツアーとは異なる空気を感じながら、近くの老夫婦とおしゃべり。日本のことやハネムーンのことを話したのだが、むこうの方々のつかず離れずのコミュニケーション能力にはつくづく感心した。お互いの人となりを知って、楽しいツアーにしようとする姿勢がとても新鮮だったし、実際ツアーは楽しくて別れる時は少し寂しくなってしまった。私もあんな風になれたらな、と思いながら日本で生活しているほど衝撃的だった。喜望峰からは美しい海が臨めて大航海時代に思いを馳せられたし、砂浜でのびのびと過ごすケープペンギンはとても愛らしかった。極め付けはカーステンガーデンボッシュ国立植物園だ。とにかく広大で見どころが沢山あり、全然時間が足りなかった。国花であるプロテアの花が見たくて、園内を縦横無尽に駆け巡ったのも良い思い出だ。時間が許せば1日中散策できたと思う。大充実の半日ツアーを終え、最後の晩餐を楽しんだ。

喜望峰の先端
喜望峰の先端
見飽きることがないケープペンギン
見飽きることがないケープペンギン
ずっと見たかったプロテア
ずっと見たかったプロテア

翌日は日本へ向けて出発。空港へ向かうタクシーからは綺麗なテーブルマウンテンが見えた。

生命の神秘もアドベンチャーもリゾートも海外らしさも感じられるアフリカ。一生忘れられないハネムーンになったのは言うまでもなく、必ずまた訪れると決意するほどの魅力にあふれた大地だった。