2023.10.01発 キリマンジャロとザンジバルの旅 11日間

今回の旅の主役はキリマンジャロ。タンザニアが誇る世界的に有名な山ですが、実際にその全景を拝むことができるのは、東アフリカを旅行する人々の中でもごく一部の方だけです。というのも、ケニアでもタンザニアでも、キリマンジャロを綺麗に見られる場所は限られてしまうのです。

今回は、そんなキリマンジャロを堪能したいというお客様のご要望に合わせ、オーダーメイドでツアーをお作りしました。ケニアとタンザニア両国を旅し、ケニア側からはサバンナに住む野生動物とキリマンジャロを、そしてタンザニア側からは日帰りのハイキングで、最高峰キボを狙います。

ナイロビ到着後、まずはキリマンジャロの北側に位置するアンボセリ国立公園に向かいます。約200㎞の道中、ナイロビの町を離れるにつれ、ちらほらと野生動物の姿が。そして、何ヵ所かの休憩を挟み、ナイロビを出発し3時間が経過したころ、サファリカーのフロントガラス越しに、キリマンジャロの姿が。雲にかかっていたこともあり、最初はぼんやりと映っていただけですが、進むにつれて、だんだんはっきりと姿を現し始めました。

道路沿いに見える動物たち
道路沿いに見える動物たち
ついに、憧れのキリマンジャロの姿が
ついに、憧れのキリマンジャロの姿が
サファリカーと背後にうっすら見えるキリマンジャロ
サファリカーと背後にうっすら見えるキリマンジャロ

ロッジに到着すると、すぐに野生のベルベットモンキーがお出迎え。たくさんのベルベットモンキーがロッジ内外をうろちょろしています。なかには、ほんの小さな赤ちゃんモンキーを抱えたお母さんも。また。ロッジの周囲はサバンナが広がり、シマウマがすぐ近くで草を食んでいます。さらに、遠くには象の姿も。ロッジからは、天気次第ですが、キリマンジャロが綺麗に見られます。

ベルベットモンキー達
ベルベットモンキー達
客室のすぐ前のサバンナで草を食むシマウマ
客室のすぐ前のサバンナで草を食むシマウマ
キリマンジャロを前にティータイム
キリマンジャロを前にティータイム

サファリでは、キリマンジャロを綺麗に見ることができました。夕刻、気温が下がってくると、日中は沼に浸かって体を冷ませていたゾウ達も、ノソノソと陸に上がってきます。今日は、生後数週間でしょうか、本当に小さな赤ちゃんゾウも見ることができました。雄大なキリマンジャロを背景に、こういった動物たちが見られるのがアンボセリの醍醐味です。その他、肉食動物はライオンやハイエナを見ることができました。また、サバンナに住むマサイの村も訪問しました。

キリマンジャロとゾウ
キリマンジャロとゾウ
夕方のライオン
夕方のライオン
マサイ村訪問も人気です
マサイ村訪問も人気です

通常のサファリだと、キリマンジャロとはここでお別れですが、今回は陸路でタンザニア側に渡り、南側からもキリマンジャロにアプローチしました。タンザニア側では、アンボセリとは打って変わり、森の奥に佇むキリマンジャロを見ることができます。さらに、キリマンジャロ登山は難しいという場合、日帰りのトレッキングも可能です。天気が良ければキボ峰が、さらに、運が良ければ、クロシロコロブスなどの動物を見ることもできるかもしれません。

モシの町からのキリマンジャロ
モシの町からのキリマンジャロ
霧のかかったキリマンジャロの山中
霧のかかったキリマンジャロの山中
日帰りトレッキング中、シロクロコロブスの群れにも遭遇しました
日帰りトレッキング中、シロクロコロブスの群れにも遭遇しました

ケニアでのサファリ、タンザニア北部でのキリマンジャロ・ハイキングを終え、旅の終着地はザンジバル島です。タンザニアが世界に誇るリゾートアイランドだけあり、やはりいつ行っても、青々と輝いた海が、真っ白なビーチと共に迎えてくれます。時間があれば、昔ながらのダウ船クルーズも良いかもしれません。お客さんを乗せ、ゆっくりと海面を進んで行きます。ザンジバル島はこの様に、ビーチでも、プールでも、旅の疲れを癒してくれます。

どこまでも広がるビーチと美しい海
どこまでも広がるビーチと美しい海
ホテルのレストランからの景色
ホテルのレストランからの景色
今回宿泊したリゾート・ホテル
今回宿泊したリゾート・ホテル

2023.08.17発 ボツワナ周遊キャンピングサファリ 19日間

「ボツワナ周遊キャンピングサファリ 19日間」にご参加されたT様より、写真とレポートが届きました!

マカディカディ・パン&ナイ・パン国立公園とボツワナサファリに行ってきました。久しぶりのボツワナ、予想以上の感動がありました。マウンの市街はすっかり変わっていましたが、ボツワナの自然は以前のままでした。あっという間の19日間。心配していたキャンプもすばらしいメンバーに恵まれて楽しい時間を過ごせました。ボツワナの自然を・・・。

朝のサファリ いきなりラーテルに会いました
朝のサファリ いきなりラーテルに会いました
ハンティング 最後は水に飛び込んでクドゥを捕まえました
ハンティング 最後は水に飛び込んでクドゥを捕まえました

ライオン

オオミミギツネにたくさん出会いました
オオミミギツネにたくさん出会いました
上は私たちの帰宅時のタイヤ跡 下が訪問者の足跡 深夜2時過ぎの訪問でした。
上は私たちの帰宅時のタイヤ跡 下が訪問者の足跡 深夜2時過ぎの訪問でした。
こんなブッシュの中でチーターのハンティングです
こんなブッシュの中でチーターのハンティングです
水辺にリーチェ
水辺にリーチェ

ゾウ

スポットライトに照らしだされたのはヒョウ 当たりはついていたそうです
スポットライトに照らしだされたのはヒョウ 当たりはついていたそうです

モコロ

モコロから
モコロから
モコロに乗ってやっと近づいて
モコロに乗ってやっと近づいて

イボイノシシ

夕陽はいつも赤くまるく沈んでいきます
夕陽はいつも赤くまるく沈んでいきます
夕方の帰りにアードウルフを見つけました  SYOZOさん、羽鳥さんストライク
夕方の帰りにアードウルフを見つけました  SYOZOさん、羽鳥さんストライク
ちょうど今夜はフルムーンでした
ちょうど今夜はフルムーンでした
ヒョウの見つめる先には獲物を横取りしたワイルドドッグが
ヒョウの見つめる先には獲物を横取りしたワイルドドッグが
ヒョウの獲物を横取りして少し休んでから出発です
ヒョウの獲物を横取りして少し休んでから出発です
子供たちも大きくなり、巣を離れて長い旅が始まります
子供たちも大きくなり、巣を離れて長い旅が始まります
羽鳥さん、ガイドより早くマラカイト・キングフィッシャーを見つける
羽鳥さん、ガイドより早くマラカイト・キングフィッシャーを見つける
アッと驚く、セーブルアンテロープの群れ
アッと驚く、セーブルアンテロープの群れ

ボツワナ周遊キャンピングサファリ 19日間のツアーページはこちら

2023.08.05発 特別企画 ウガンダ ゴリラ・トレッキング 9日間

6名様限定という少人数での特別版にて催行した、ウガンダ ゴリラ・トレッキングに同行してきました。ブウィンディ国立公園内で2回、かつトレッキングの場所を変えた今回のツアーはゴリラとの遭遇率が高く、2回のトレッキングはどちらもゴリラに逢うことができました。

ウガンダのブウィンディ国立公園はウガンダでも最も西に位置していて、コンゴ民主共和国の国境がすぐそばを通っている原生林の森です。周辺は開拓されパイナップルやお茶の栽培が盛んですが、ゴリラの棲むこの森は国民にとっても財産となり、厳しく管理されています。

ここはウガンダの首都カンパラから陸路でほぼ一日かかる距離ですので、やっぱり連泊してトレッキングをしなければ勿体無いです。満を持して、まず一回目はルヒジャ地区で一回目のトレッキングスタート!林道から急斜面を谷底まで下り、逢えたのはキャグリログループのゴリラたち。ただ足元が急斜面でなかなか写真を撮ることが難しい…というか大変でしたが、やはり近くでゴリラと出逢える約一時間の観察時間はあっという間に時間が過ぎていきます。

母親の手の存在感
母親の手の存在感

年に何度もできるツアーではありませんが、次にこのツアーが設定されましたら是非ともご検討していただけると幸いです。かなりの確率でゴリラに出逢えると思います。

久世

ウガンダ ゴリラ・トレッキングのツアーページはこちら

2023.04.28発 サファリガイド加藤直邦さん&大森憲治さんと共に深く知るタンザニア・サファリ 10日間

98年、レンジャー養成所であるタンザニアのムエカ野生生物管理大学で一緒だった大森憲治は、タンザニアで撮影コーディネイター兼ガイドとなり、一方の私は、ケニアのロッジでサファリガイドになりました。「いつか一緒に仕事をしたい、タンザニア観光の魅力を広げられる、二人だけにしか出来ないツアーを組みたい!」と思い続け、道祖神とお客様のおかげでついに私たちの夢が叶いました。お互い歳を取りましたが、その分の経験値を活かした個性的なサファリができたと思っています。

目的地はサファリ好きなら一度は訪問する、もしくは憧れの地であろう北部タンザニアのセレンゲティとンゴロンゴロです。2カ所ともユネスコの世界遺産に登録されています。ゴールデンウィークのタンザニアは大雨季の真っ最中です。出発前に参加者にはツアー中に雨が降ることを前提とした、防水防寒の準備をしていただきました。

最初にオルドバイ渓谷を訪問。ここは人類化石が2種も発見された歴史的名所です。荒涼とした発掘現場を眺めながら、200万年前の猿人や旧人の生活を想像します。2019年に改装された新しい博物館もあり、骨格標本を比較しながら人類進化の継承を考察しました。

そして、セレンゲティ国立公園へ入っていきます。地平線の大地をひたすら真っすぐ走る道中、ヌーの大群やライオン、チーターにも遭遇し、さっそくサファリ気分は最高潮です。

セレンゲティ滞在中は、国立公園で働くレンジャーに講義をしていただきました。日本の四国と同じくらいの面積があるセレンゲティの運営管理の大変さや、密猟問題への取り組みなど興味深いお話を伺うことができました。

サファリ中盤は、ンゴロンゴロ・コンサベーションエリアへ移動。クレーターの縁は標高2300メートルと高く、車外は霧に包まれます。いよいよクレーターの中へ入っていくと霧が晴れ、眼下には美しい緑が一面に広がります。ちょうどこの時期はキク科の黄色や紫色の草花が咲き乱れ、「いったい自分は何処にいるのだろう」と混乱してしまうほど、草原の景色がカラフルでした。これこそが、雨季の魅力なのだろうと思
います。

私は色々な動物保護区を訪問していますが、このクレーターの中の動物たちは本当にのんびりしている印象を受けます。人も恐れないのか、車道からかなり近くで観察できるのも魅力です。本当は弱肉強食の厳しい世界があるのでしょうが、ライオンたちでさえのんびりしているように見えました。何処にカメラを向けても美しく、頭の中に「楽園」という言葉が浮かんできます。

クレーターの中に広がる楽園。車に慣れているのか、車道近くからもあまり逃げません。
クレーターの中に広がる楽園。車に慣れているのか、車道近くからもあまり逃げません。

2日間クレーターの中でおこなったサファリでは、雨季には遭遇率が高くなるという数少ないクロサイや、めずらしいネコ科のカラカルの食事シーンを観察することも出来ました。

ンゴロンゴロでは、ハイエナの調査研究をおこなっている施設を訪れ、研究者にインタビューをしました。30年近く生態調査をおこない、クレーターに生息する400頭ものハイエナを個体識別しているそうです。嫌われ者のイメージのあるハイエナですが、感染病の蔓延を防いだり、草食動物の個体数をコントロールしたりする、生態系の中で重要な役割を果たしていることを教わりました。参加者からもたくさんの質問があり、興味は尽きません。

ハイエナ研究家からのお話を伺います。骨まで食べてしまうハイエナは自然界で重要な役割をしてくれています。
ハイエナ研究家からのお話を伺います。骨まで食べてしまうハイエナは自然界で重要な役割をしてくれています。

また、ライフルを持ったレンジャーと共にクレーターの縁を歩くウォーキングサファリにも参加しました。ヌーなどの野生動物たちがクレーターへ出入りするという森の中のケモノ道を歩きます。ここは密猟者が罠を仕掛ける場所でもあるそうで、緊張感もでます。道中、レンジャーからマサイ族の薬草の話などを聞きました。霧の森の中でこちらをじっと見つめるキリンのシルエットも印象的でした。

雨季なので足場は悪いですが、レンジャーとウォーキングも。現場の生の声が聴けるのでとても興味深いです。
雨季なので足場は悪いですが、レンジャーとウォーキングも。現場の生の声が聴けるのでとても興味深いです。

ンゴロンゴロからの帰り道では、バナナで生計を立てている小さな村を訪問しました。村の観光協会が主催するツアーに参加し、市場で珍しい赤いバナナを食べたり、バナナ畑で栽培方法を学び、チャガ族の女性たちが作る伝統的なバナナビール(ンベゲ)を試飲したりしました。最後は、村のママたちが作ってくれた地元料理を振舞ってもらいました。タンザニア名物のピラウ(炊き込みご飯)、湖の小魚を使った炒め料理、キャッサバのフライなど、どの料理も美味しくて、皆で感心しながら舌鼓をうちました。

村の八百屋。通常のツアーでは訪れられない場所にも安心して行けるのがこのツアーの魅力です。
村の八百屋。通常のツアーでは訪れられない場所にも安心して行けるのがこのツアーの魅力です。
想像以上に美味しい地元料理。ロッジでの食事もいいですが、地元料理を食べられる貴重な機会です。
想像以上に美味しい地元料理。ロッジでの食事もいいですが、地元料理を食べられる貴重な機会です。

今回のツアーでの経験は語りつくせません。やはり北部タンザニアには観光客を魅了する要素がいくつも詰まっていることを実感しました。特に今回はガイドパートナーの大森憲治が、タンザニアでのコーディネイターとしての経験とコネクションを活かし、普通のツアーでは会えない人や、行けない場所もアレンジしてくれたので、一味も二味も違うサファリが出来たと思っています。

タンザニアのムエカ野生動物管理大学の元同級生である加藤直邦さんと大森憲治さんの夢のタッグ。
タンザニアのムエカ野生動物管理大学の元同級生である加藤直邦さんと大森憲治さんの夢のタッグ。

雨季のサバンナは天候のリスクはありますが、他の観光客が少なくロッジはのんびりできますし、何よりも晴れたときのサバンナの美しさは、訪れた者しか得られない最高の思い出になるでしょう。

是非、来年も第二弾を募集し、新しいアレンジで参加者を迎えたいと思います。

2023.04.06発 山形豪さんと行く カラハリ・トランスフロンティア公園写真撮影ツアー 11日間

日本ではようやく新型コロナ関連の規制が撤廃されたばかりだが、海外はだいぶ前から” ポストコロナ” の日常に移行しており、アフリカ各地のサファリロッジも通常営業に戻っている。海外旅行がほぼ元通りにできるようになったタイミングで南アフリカとボツワナに跨るカラハリ・トランスフロンティア公園への自然写真撮影ツアーを催行した。砂漠の野生動物たちはいつも通りの強烈な命の輝きを放ち、素晴らしい撮影機会の数々をもたらしてくれた。

カラハリ・トランスフロンティア公園は、南アフリカとボツワナに跨る総面積38000平方キロメートルの巨大な保護区であり、南部アフリカ内陸部に広がるカラハリ砂漠の西部に位置している(ボツワナ中部に位置するセントラル・カラハリ動物保護区とはまったく別の場所なので要注意)。砂漠とは言っても比較的草木の多い環境であるため動物が多く、特に大小様々な肉食獣たちとの遭遇率が高いことで知られている。そんなカラハリへのツアーを4月6日から16日までの日程で開催した。実に3年ぶりとなる、待ちに待ったツアー再開であった。

カラハリの環境は厳しい。極度に乾燥した大地には日中情け容赦なく太陽が照りつけ、夏場( 12月〜2月)の気温は45℃を超えることもある。そうかと思えば夜は放射冷却のために気温はぐんぐん下がってゆく。以前、真冬の7月にキャンプをしていたとき、あまりの寒さに目を覚ますとテントの中の気温がマイナス7℃にまで下がっていたことがあった。寒暖差は一日の中でも激しく、24時間で春夏秋冬が巡ってくるようなものだ。しかしその厳しさ故に、そこで生き抜く動物たちは美しく、強烈に輝いて見える。そして4月は秋にあたり、気候的にもっとも極端な時期を避けるという意味でサファリに適した季節とも言える。

真昼の砂漠をゆく子連れのチーター。カラハリはチーターの数が多いことでも知られている。
真昼の砂漠をゆく子連れのチーター。カラハリはチーターの数が多いことでも知られている。

カラハリを代表する動物はいくつかいるが、目玉の一つはライオンだ。この地域のオスたちは歳をとるに従ってたてがみが黒くなってゆくことで知られており、その迫力と美しさは見た者を圧倒する。そんなカラハリライオンのオスに三日目の朝出会った。明け方3時半、一つ目の宿泊先であるロイプッツ・ロッジで眠りについていた我々は、突如「ウオォォォッ!、ウウオオォォォッ!!」という凄まじい咆哮で叩き起こされた。ライオンの縄張り宣言だった。ほどなくして声の主は一頭から三頭に増えた。しかもそのうち一頭はロッジの部屋のすぐそばを歩きながら鳴いたので、空気がビリビリと震えるのを感じられるほどだった。

満点の星空に包まれる夜のロッジ。そこにライオンの咆哮が響き渡る。
満点の星空に包まれる夜のロッジ。そこにライオンの咆哮が響き渡る。

ロッジは水場を見下ろす砂丘の上に建てられており、草食獣がよく集まってくる。そのような場所は肉食獣にとって格好の狩場となるので、当然ライオンの縄張りとしては最高の立地条件であり、むしろそういう場所だからこそロッジが作られているわけだ。縄張り宣言は明け方まで続いたため我々は完全な寝不足状態に陥ったが、一方でライオンが自らの居場所を知らせてくれていたわけで、これは絶好のチャンスでもあった。夜が明けると私はすぐさまガイドのベンジャミンと相談し普段より早くロッジを出発、太陽が昇りきる前に相手を見つけることにした。陽が昇る前に撮影対象を発見できれば、光の来る方向を見定めた上で事前に車をベストポジションに配置しておくことができるのだ。

目算は当たった。相手はロッジから車で3分もかからない距離にある砂丘の西側斜面中腹にいた。そしてそれは私が今まで見てきたどのライオンよりも美しかった。しかも向こうは東を向いてくれていたので、最高の撮影チャンスになることは間違いなかった。私は車を相手よりも少し下の斜面に停めてもらい光を待つことにした。やがて太陽が砂丘の上から顔をあらわすと、威厳に満ちた巨大なオスライオンの姿が光に浮かび上がり、参加者一同夢中になってシャッターを切り続けた。「撮影ツアー」と通常のサファリとの違いの一つは、いい写真を撮れる可能性があると私が判断した場合、それに合わせてサファリのスケジュールや行動パターンを柔軟に変えてゆく点にある。

朝日を浴びる巨大なオスライオン。カラハリ砂漠の大自然を象徴する存在だ。
朝日を浴びる巨大なオスライオン。カラハリ砂漠の大自然を象徴する存在だ。

カラハリは訪れる者にいつも数々の驚きや感動を与えてくれる。それは今回も例外ではなかった。1週間弱の滞在期間中ライオンに出会わない日はなく、子連れのチーターやヒョウ、セグロジャッカルの狩り、ミーアキャット、そしてリクガメを捕食するラーテルという、極めてレアなシーンなども撮影することができた。これらの結果は運ももちろんあるが、ベンジャミンのようなこちらのわがままに快く応えてくれる現地ガイドや、ロッジでの快適な滞在を支えてくれるスタッフたちの存在に依るところが大きい。そして彼らは私たちが戻ってくることを心待ちにしている。

夜、ロッジの水場に姿を現したヒョウ。サファリでは宿にいるときも撮影機会が訪れる。
夜、ロッジの水場に姿を現したヒョウ。サファリでは宿にいるときも撮影機会が訪れる。
水場でハトを狙うセグロジャッカル。このような場面に出会えるのもカラハリならでは。
水場でハトを狙うセグロジャッカル。このような場面に出会えるのもカラハリならでは。
写真撮影に大忙しのツアー参加メンバー。カラハリは遮蔽物が少ないため撮影条件が非常によい。
写真撮影に大忙しのツアー参加メンバー。カラハリは遮蔽物が少ないため撮影条件が非常によい。

コロナパンデミックの影響でアフリカのサファリ産業も大きなダメージを受けた。欧米同様、2022年後半ごろからサファリの現場はほぼ「通常営業」に戻ったが、職を失った人々や廃業したサファリロッジも決して少なくないのが実情だ。サファリでの動物たちとの素晴らしい出会いも、それをサポートしてくれる人々がいなければ実現しない。日本のコロナ規制もようやく撤廃されたことでもあるし、より多くの人にアフリカを訪れサファリを楽しんでもらいたいと願う次第だ。

■自然写真家 山形 豪さんと行く 自然写真撮影ツアーはこちら