ラマダンとはヒジュラ暦(イスラム暦)第9月のこと。この月の日の出から日没までのあいだ、イスラム教徒の方々は義務の一つ「断食(サウム)」として、飲食、喫煙、性行為、投薬(ただし健康上支障をきたす者は断食が免除される)、故意に物を吐く事、などを絶ちます。「ラマダン」を断食のことと間違って理解している方も少なくありませんが、「ラマダン」とはあくまでもヒジュラ暦における月の名前で、断食自体は「サウム」と言います。
アフリカでも、イスラム教徒が大多数を占める、あるいは半数近い国々では、このラマダンに大いに影響され、観光も例外ではありません。モロッコやチュニジアなどでは、観光施設が閉まることもありますし、外国人利用者が多いレストランやホテル以外では、日中食事ができなかったりということもあります。また、お酒が手に入るイスラム諸国でも、厳禁ではありませんがなるべく飲酒は控えた方が良かったりします。実生活的には、皆さん空腹を抱えているためか怒りっぽかったり、交通事故件数が増えたり、役所などで何かの処理をお願いしても通常よりはるかに時間がかかったりすることも。ちょっと不便もありますが、これはこれで「ラマダンの時のイスラム教徒の方々の生活を知る」という意味で、貴重な経験になるのではないかと思います。日中は軒並み閉店状態のローカル・レストランも、日没後は遅くまで開いていますし。
今年は、ワールドカップ開催期間と若干被ってしまいましたが、ヨーロッパ諸国の代表チームの中にもムスリム(イスラム教徒)の選手がいるので、「ラマダンをやる!」と決めた選手達(旅行中などやむを得ない理由がある場合は延期もできます)は、かなり大変だと思いますが、日没後に食いだめをして、是非頑張ってほしいものです。