初心者がゼロから始める登山 キリマンジャロへの道 Lesson 13 キリマンジャロ挑戦 第二陣「マラングルート」レポート

8月の第一陣「マチャメルート」に続き、第二陣にして最終回となる「マラングルート」でのキリマンジャロ挑戦が9月に決行されました。同じメンバーでともに楽しみ、苦しい思いをしながら3年間続けてきた講習会も、ついに胸いっぱいの幸福感と一抹の寂しさの中で終わりを迎えました。結果から先にお話しすると、参加者8名のうちウフルピーク登頂が7名、ステラポイント登頂が1名、全員が登頂という素晴らしい結果でした。今回が『ハットリ君の山ガイド』最終回、最後のレポートとなります。

弊社スタッフが成田でお見送り
弊社スタッフが成田でお見送り

全身全霊でキリマンジャロを楽しむ

マチャメとマラングルートの最大の違いは、歩行距離と宿泊形態です。テント泊でアップダウンのあるコースを歩くマチャメに対して、マラングは山小屋泊、歩行距離もマチャメの8割程度。そのため、マチャメは熟練者向け、マラングは経験の浅い方向けとされています。とは言え、マラングルートが楽というわけではなく、72回登っている私でもマラングの方がより厳しく感じます。特に微妙なアップダウンを繰り返しつつギルマンズポイントからステラポイントまでクレーターの縁を回り込む、標高5,600m付近の行程は本当にハードで、下山後は思い出したくない部分です。

頂へ続く道
頂へ続く道

今回は、参加者の皆さんが費やしてきた3年間という決して短くない時間に対して、何らかの結果を引き出すことが求められました。講師の私としては、このプレッシャーが今までのどの登山ツアーより大きかったと思います。そんな私を知ってか知らずか、参加者の皆さんは、故障の痛みからくる不安、体力不足だと思い込んでいることからくる不安、初めての高度と低酸素に対する不安など、様々な不安を抱えつつも、アフリカ大陸最高峰の大きな山を、全身全霊で楽しんでいたように思います。
毎回楽しいランチタイム
毎回楽しいランチタイム

3年間という経験に裏打ちされた「粘り」

今回、3年前は初心者だった皆さんと登って気が付いた点は2つ。一つは、体力的にハードなこともあった国内登山での講習を乗り越えてきたからこそ発揮された「粘り」です。ホロンボハットでの延泊のお蔭か、キボハットまでは皆さん体調も良く、高度順応もうまくいっていましたが、空腹・睡眠不足に近い状態で開始したピークアタックはやはり厳しく、途中で遅れる方が出ました。できるだけ高いところまで上がってもらおうと、チーフガイドと私で遅れた方の前後を挟み、ペースや休憩の数・時間を調整し、本隊を後から追いかけました。通常であればまず追いつけることはなく、最低限の目標を達するため狙いをウフルピークからギルマンズポイントに切り替えて続行するところ、ご本人の意志の強さか、または3年間の経験のなせる業か、ギルマンズポイントで本隊に追いつき、ほぼ同じタイミングでウフルピークに到達できました。これは私自身もはじめてに近い経験でした。

ウフルピーク登頂
ウフルピーク登頂

登頂証明書の授与
登頂証明書の授与

下山で知った「人の強さ」

もう一つは、下山のスピード。今回初めて気付きましたが、登山経験の有無はおそらく下山の際の足の着き方、ペースに現れるのではないかと感じました。それなりのペースで下って行くには、次の一歩をどこに着いたら良いか一瞬で判断する必要があります。初心者はこの判断に時間がかかり、ペースも落ちます。3年前は奥多摩の日ノ出山(902m)からの下りでさえ難儀していた皆さんが、私やガイドのペースにも易々とついて来られる。変な話かもしれませんが、私が一番感動し、まさに「巣立っていく雛鳥を見送る親鳥の心境」を感じたのはこの時でした。3年間継続すれば、無駄なことなんて何もないんだな、と。強い想いや憧れからくる「人の強さ」のようなものを感じ、登り慣れた山々から私自身も多くのものを学んだ3年間でした。
今は麓から遥々見上げる、信じられないほど大きな山かもしれません。でも、自分を信じて努力していけば、いつかは頂に立てる。「経験ないし…」「私は無理…」そう感じている皆さん、ちょっと本気になって一緒に“アフリカ大陸で一番高い場所”を目指してみませんか?
羽鳥 健一