初心者がゼロから始める登山 キリマンジャロへの道 Lesson 4 夏山の登山と長時間の歩行

東日本編・西日本編ともに、5月12日の第2回講習会は近郊の低山ハイク日帰り、7月14、15日の第3回は少々本格的な山で山小屋1泊2日の講習会を行いました。事故もなく、安全に登山を楽しみ、夜は山小屋でより実践的な講習会を開催することができました。

登り

山頂付近

低山や里山、丘陵地帯の非常によく整備された道と違い、本格的な登山の目的地となる山は、ルート状況のバリエーションがある意味無限に多様で、雨にぬれて滑る岩、ロープに頼らなければならない箇所、梯子、泥濘みなど、黙々と歩いているだけでも、より効率良く、安全に山を歩くための非常に良いトレーニング&経験づくりになります。
日本の夏は、湿度がとても高いため、雨天時に着用するレインウェアの透湿性を極度に考慮したり、速乾性かつ汗を外に出す高機能なTシャツ等を着用したり、海外のほとんどの山ではさほど注意せずにすむ点に関しても、それなりに注意を払うことが必要です。日本の夏山ではかなり標高の高い山や、アップダウンの少ない稜線を歩く時以外、「涼しくて気持ち良い」と感じる場面は多くありません。国土面積に対する森林率が世界第2位の国ですので、樹林限界まで登らなければ、一部地域(北海道など)を除いて湿度の高い“森”を歩くことがメインになります。
登山の心得の金言に「汗をかかないように登れ」というものがあります。これはあくまでも「基本」ですが、山での多量な発汗は水分とともに電解質も失われるため、「水」を飲んでも電解質が補給できず、浸透圧が狂って熱性痙攣などを引き起こすこともあります。水ではなくスポーツドリンクがよい、と言われるのはこのためです。ですが、いくらスポーツドリンクの吸収が早くても、汗をかくと電解質はどんどん失われますので、「汗をかくと疲労が進む」のは科学的に正しいことなのです。その疲労を補うに足りる体力があれば、とりあえず問題になることは少ないと言えますが、汗が乾かない状態で行動を続けることでたまる精神的ストレスも無視できません。日本の夏山登山は、この点にさえきちんと対策を講じ、天候さえ安定していれば本当に気持ちのよい、青空を眺めながらの登山を楽しむことができます。
反面、キリマンジャロやヒマラヤをはじめとする海外の山域では、ほとんどの日本の山より標高が高く、気温もさほど高くありません。また、一部の山(ボルネオやニューギニアなど)を除いてかなり乾燥していますので、湿気と大量に汗をかくことへの対策はあまり必要としませんが、乾燥や急速な水分消費(汗をあまりかかないので、体が乾いているということに気付かない)、そして強烈な紫外線や急激な気温変化への対策が必要になります。
登山は経験の有無が非常に重要になってくるスポーツです。ある程度の状況には、的確に対応できるよう、気候が安定している夏~秋の時期は、どんどん山に足を運んで、経験を積んでいただければと思います。
食事

山小屋での講習会

羽鳥

道祖神

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道祖神