アフリカ絵日記その21 涙でにじんだテーブルマウンテン

アフリカ絵日記その21 涙でにじんだテーブルマウンテン

最後の国境を越える。ケープタウンまで679kmの標識。国境のオレンジ川を渡りる。南へ行くほど緑が増えてくる。気が付けば風景はまるでヨーロッパだった。整備されたブドウ畑がどこまでも続く。道中の町で出会う人々のリアクションが激しくない。というか、ノーリアクション。東洋人が自転車で旅行していても、この国では珍しくない風景なのか、無関心なのか。ゴールが近づいているというのに、なんか寂しい。そんな中、ひそかに感動したのは路側帯に落ちていたゴミ。マクドナルドの包み紙だ。最後にマクドを見たのはモロッコ。その後、9カ月間全く見なかったマクドナルドがここにはある!モロッコからここまでの大陸縦断の旅がフラッシュバックした。
そして、ケープタウンへ到着予定の日。僕は後ろから来た車に引っ掛けられて転倒する。幸い、大きな怪我はなかった。しかし、自転車の車体は曲がり、走行不能となってしまった。車はすぐに止まって紳士的に「大丈夫か?」と聞いてくれ、きちんと警察に行き、ホテルまで乗せていってくれた。でも。でも。
車に乗ってほんの10分もたたないうちに、遠くにテーブルマウンテンが見えてきた。あれこそはゴールのケープタウン。じわーっと涙が出てきた。あと少しだったのに。悔しかった。でも。生きていたことは奇跡だったかもしれない。大きな怪我がなかったことだけでも感謝しよう。こんな形で僕はケープタウンに到着した。