風まかせ旅まかせ Vol.9 英雄アベベの国、エチオピアに想う

今年、創立33年の記念に自社でカレンダーを制作することにした。この手の仕事は佐藤が得意だ。写真選びからデザインまで佐藤に一任した。サイズはA4判見開き、弊社スタッフがアフリカ各地で撮ったオリジナル写真にこだわり、素晴らしいカレンダーが出来上がった(自我自讃!ぜひご購入ください)。企画過程で様々な意見があった。その一つが「アフリカ各国の独立記念日を国旗とともに入れよう!」というもので、皆迷わず賛成。全54カ国の独立記念日が、弊社のカレンダーには記載されている…と思って佐藤に確認すると「全53カ国です。エチオピアには独立記念日がありませんよ!」と言うではないか。うかつだった。エチオピアはもともと長い歴史のある独立国で、ヨーロッパ列強に完全に植民地化された歴史はないのだ!唯一イタリア軍との戦争、一部の占領(この戦争では多くのエチオピア人が命を落としている)の時代を経験している。
エチオピア人が一番嫌いな国はイタリアだ。現地ガイドから幾度となく聞かされているので間違いないだろう。そんな話の中で必ず登場するのが、英雄アベベ・ビキラだ。ガイドが言う。「マラソンランナーのアベベを知っていますか?」。キクチ「もちろん知ってるさ。64年の東京オリンピックで優勝したエチオピアの英雄だろ?史上初のマラソン2連覇を成し遂げて、その後、交通事故が原因で亡くなっている」。ガイド「そう、東京の前のローマでも優勝したんだ。その時、アベベは“裸足”で走って、イタリアの新聞はこぞって“靴も買えない貧乏国エチオピアの選手”と紹介した。そのアベベが優勝したんだ…」。よっぽど悔しかったんだろう。自分で話しながら目に涙を浮かべている。祖国を武力で植民地化しようとしたイタリアで、“裸足の英雄”は生まれた。当時のエチオピアの熱狂は想像に難くない。
そういえば59年の伊勢湾台風で甚大な被害を被った日本にいち早く義援金を贈ってくれたのもエチオピアだったと言うし、今年の震災でも世界最貧国と言われながら2500万円の義援金を贈ってくれた。
改めて、多くの旅行者をエチオピアに送るのが弊社の責務だと思う。
写真 : 1960年ローマオリンピックのアベベ・ビキラ from Wikimedia Commons