川田順造さんの「サバンナの手帖」

川田順造さんといえば、ブルキナファソ、マリなどサヘル地域中心に調査をおこなわれる文化人類学者でもあり、アフリカをはじめ多数の著書でも知られる方です。

川田さんの著書は多く読みましたが、私のお気に入りは「サバンナの手帖」「サバンナの博物誌」「サバンナに生きる」などブルキナファソ、マリなどサヘル地域のことを書かれた本で、特に「サバンナの手帖」は何度でも読み返したい一冊。
この本は研究者の方が書いた調査の記録ではなく、物語の本です。
川田さんが、時空を超えてマリを旅する物語で、フランス人の探検家のルネ・カイエ、イスラム学者のアハメド・バーバなどマリの歴史にはかかせない人物が突然、ご本人の目の前に現れて対話するのですが、歴史の中だけでイメージしていた人物のキャラクターが浮かび上がってきて非常に面白く、著者との対話している周りももちろんその時代の風景が描写されていて、どっぷりその時代に引き込まれていきます。
川田さんがこのときばかりは学者でなく、1人の旅人になっているところもこの本の魅力なのでしょう。マリを旅していると、実際、泥で出来たモスクや家々、ロバにまたがる子供、川辺で洗濯をする女性たちなど、ずっと昔から変わらないだろうと思われる景色が続きます。
ニジェール河の舟上で風に吹かれながら眺める景色と、この本の景色は不思議なくらいマッチするのです。
マリの状況が回復して欲しい、ツアーが再開できた折には、またこの1冊とともに旅をしたい・・・
どちらも心から願っています。
by KQ