私にとって、アフリカらしい人、風景、モノ by 東京本社 佐藤

アフリカを旅する醍醐味のひとつに、いかに悪路を乗り越えながら旅を続けるか、が私にとってひとつの楽しみ。
今では各地でずいぶん舗装工事が進み、昔に比べれば旅することが随分楽になったはず。それでもアフリカにはまだまだ激しい道がある。

ひとりアフリカ大陸をバイクで走っていた時のこと。ナイジェリアからカメルーンへ入国すると、暇そうな国境係員は呆れるほどのんびり入国手続きを終えた後、ニヤリとしながら言った。「この先はマディだ(泥の道)」と。そんなはずはない。
手元のミシュランの地図では、この先の道は赤い実線=舗装路となっている。私は係員の脅しか何かと考え数キロ進むと、その先に広がる熱帯林には、言葉を失うほど、ぬかるんだ赤土の道が続いていた。
重いバイクは泥に埋まり、まったく動かない。その度に、通りかかるカメルーン人の手を借り、倒れたバイクを引き起こしたり、泥の中からバイクを引っ張りだしたり。あまりの暑さに熱中症で倒れて、途中、村人にも厄介になった。
たった数キロ進むのに、丸一日を費やした。
その先ガボン、コンゴ、アンゴラと、悪路には随分苦しめられたけど、インフラの整ったナミビアに辿り着いた時の感激といったら。あの時は、もうこんな道こりごりだ、と思っていただけれど、またいつかもう一度、あの道を走ってみたいと思う自分がいる。