シアバターのおはなし

シアバターのおはなし

西アフリカ旅行の土産として喜ばれるもののひとつに「シアバター」があります。シアバターはセネガルからチャドにかけてのサヘル地帯に自生するシア(カリテ)の木の、種から採れる天然の植物性油脂です。アブラヤシが育たない乾燥地帯にあっては貴重な油資源です。強い日差しと乾燥から肌を守る保湿クリームとして、怪我や火傷の止血・治療薬として使われ、さらに筋肉痛やリュウマチ、白髪・脱毛予防、はたまた抗酸化作用による老化防止にもなると言われている万能薬です。

塗り薬としてだけでなく、ココアバターのように食用にもなり、また燃料(ロウソク)としても使うことができます。「ロクシタン」などの製品化されたものは150mlの容量でおよそ4,000~5,000円という高級品ですが産地の価格は10分の1以下です。お土産として喜ばれるのは、日本では高くて手が届かないものが山盛り買えてしまうというお得感にあると言えますが、これは現地への利益の還元が成り立っていないという経済格差の問題でもあるというのが実情です。現地で買うメリットとしてもう一つ、混ざりものがないということが挙げられます。製品化して流通するものはどうしても酸化防止の保存料や、質を一律にみせるための香料、増粘剤等が入っています。もともとそれほど酸化の早いものではないので生のものに価値があると言えます。
ガーナでは昔から生まれたての赤ちゃんにシアバターを塗りたくって乾燥をさけていたと言われます。女性しかシアの加工や販売に携わることができない、厳しくは男性が木に触れることもはばかられるという特別な扱いに、シアがサヘルでの生活に重要だということが表れています。不運を取り払う神聖な木ともされています。マーケットでカラバッシュ(瓢箪)にてんこ盛りになったシアバターを、混ざりものがないかどうか舐めてみたり嗅いでみたり、いかにも健康なおばちゃん達との交渉はほどほどにして、たっぷりお土産にしてもらいたいと思います。
大阪営業所 有冨