憧れの南スーダン

憧れの南スーダン

南スーダンというとどんなイメージをお持ちでしょうか?
PKOでの自衛隊派遣、民族紛争、石油・・・昨年末からニュースで報道され、ますますこんなイメージを持たれた方も多いかもしれません。私が見た南スーダンは、独立してわずか2年という新しい国の混乱、でもそれ以上に伝統が色濃く残る人々の暮らしと、’美しい’人たちでした。

南スーダンを訪問したのは2013年10月。
私にとっての南スーダンはレニ・リーフェンシュタールの写真集「ヌバ」(ヌバは現在のスーダンと南スーダン国境のあたりなので場所は少し違いますが)、長くて立派な角を持つ人たち、という断片的、でも一度は見てみたいという憧れでした。
実際に訪問したのは、ジュバから少し離れたところに住む、ムンダリと呼ばれる人たちの集落。もっと北に行くと主要民族のディンカもいますが、ムンダリもやはり他の南スーダンの民族同様、とにかく背が高く、黒い。皆一様に2メートルはありそうな長身です。村では伝統のダンスと相撲(南スーダンの多くの民族が伝統的に相撲をします)を見ました。人数にして80人近くだったかと思いますが、全裸の若い男性たちが、1人の老女の指揮のもと踊り、唄う様子は、他のどの国で見たものとも違い、迫力あるものでした。全裸の男性が目の前で踊っているのに、アートを見ている感覚というのか、こちらも恥ずかしい、という感覚がおこらないのが不思議です。
もうひとつ興味深かったのが、遊牧先キャンプ。若者たちだけでグループをつくり、村から離れて数ヶ月を牛とともに過ごします。牛100頭以上はいるキャンプには、家財道具といわれるものはほぼありません。食事は?と質問をしたら、若い男性が牛の乳を直接口にするのを見せてくれました。男性たちは、常に牛をなでたり、虫除けの灰を塗ったり、満足気なその表情から牛への愛を感じる瞬間でした。ジュバから村までの道のりは、アフリカでも最近ではほとんど見ない、凄い道路を片道3時間半。それでも十分に訪問する価値のあるところです。
昨年末から治安が悪化する中、ムンダリの人たちが無事でいて欲しい、そして彼らの素晴らしい文化を再び訪ねることの出来る日が1日も早く来ることを祈っています。
by 東京本社スタッフ 紙田