2017.8.17発 山形豪さんと行く ベストシーズンのザンビア 写真撮影ツアー 10日間

このツアーでは、サウス・ルアングワとロウワー・ザンベジという、日本ではほとんど知られていないザンビアの国立公園二ヶ所を回った。いずれの場所も大きな川沿いに位置し、植生も豊かなため野生動物は種類、数ともに豊富だ。しかも乾季にあたる8月は、下草がまばらで見通しが利く上に動物たちが水辺に集中するのでサファリには最適な時期だった。使用する車はオープンカーなので撮影条件もよく、ナイトドライブも出来るとあって結果は上々。特にヒョウは子連れの母親も含めてトータル6頭見たし、ライオンの数も多かった。ゾウやカバに至っては、宿泊していたロッジにも昼夜を問わずやってきていた。さらに通常のサファリではお目にかかれない夜行性動物たち(シベット、オオガラゴ、ヤマアラシ等々)にも多く出会えたので実に楽しいサファリとなった。
このツアーは2018年8月も開催予定だ。

初日、サウス・ルアングワに到着してすぐ行ったゲームドライブでは、早々にリカオンの群れに遭遇し、幸先の良いスタートとなった
初日、サウス・ルアングワに到着してすぐ行ったゲームドライブでは、早々にリカオンの群れに遭遇し、幸先の良いスタートとなった

乾季は動物たちが水場の周りに集中するのでサファリには最適な時期だ
乾季は動物たちが水場の周りに集中するのでサファリには最適な時期だ

サウス・ルアングワやロウワー・ザンベジは、国立公園でありながらナイトサファリが許されているので、普段はお目にかかれない夜行性動物に会える可能性が高い。
サウス・ルアングワやロウワー・ザンベジは、国立公園でありながらナイトサファリが許されているので、普段はお目にかかれない夜行性動物に会える可能性が高い。

ナイトドライブで出会ったハネジネズミ
ナイトドライブで出会ったハネジネズミ

サファリにはオープンカーを使用するので撮影条件は非常によい。早朝、ルアングワ川沿いで川を渡るゾウたちを撮影した時の模様。
サファリにはオープンカーを使用するので撮影条件は非常によい。早朝、ルアングワ川沿いで川を渡るゾウたちを撮影した時の模様。

ルアングワ川を渡るゾウの群れ。対岸は我々が宿泊していたロッジの敷地だ。
ルアングワ川を渡るゾウの群れ。対岸は我々が宿泊していたロッジの敷地だ。

川の中で水を飲みながら挨拶を交わすゾウ
川の中で水を飲みながら挨拶を交わすゾウ

早朝出会った綺麗なメスのヒョウ。ヒゲがとても長く、ちょっと垂れ目な美人さんだった。川辺の湿地帯で獲物を探していた。
早朝出会った綺麗なメスのヒョウ。ヒゲがとても長く、ちょっと垂れ目な美人さんだった。川辺の湿地帯で獲物を探していた。

道端の草むらの中にいた生後2ヶ月程度と思われる子ライオン。母親たちも近くにいた。
道端の草むらの中にいた生後2ヶ月程度と思われる子ライオン。母親たちも近くにいた。

サウス・ルアングワでの最後のサファリでは、樹上でインパラを食べるヒョウの親子に遭遇した。早朝の光が綺麗にあたってくれて撮影条件は最高だった。
サウス・ルアングワでの最後のサファリでは、樹上でインパラを食べるヒョウの親子に遭遇した。早朝の光が綺麗にあたってくれて撮影条件は最高だった。

サウス・ルアングワで泊まったフラットドッグス・キャンプの部屋。とても広々として快適だった。電気は24時間通じていたので充電も問題なし。
サウス・ルアングワで泊まったフラットドッグス・キャンプの部屋。とても広々として快適だった。電気は24時間通じていたので充電も問題なし。

レストランでは南アワインを取り揃えていた。ワイン好きには嬉しい。
レストランでは南アワインを取り揃えていた。ワイン好きには嬉しい。

フラットドッグス・キャンプはサファリロッジには珍しくメニューがアラカルトだった。これはある夜のオックステール。
フラットドッグス・キャンプはサファリロッジには珍しくメニューがアラカルトだった。これはある夜のオックステール。

ロウワー・ザンベジ国立公園は、アフリカ大陸3番目の大河であるザンベジ河沿いに位置している。手前がザンビア、対岸がジンバブエだ。
ロウワー・ザンベジ国立公園は、アフリカ大陸3番目の大河であるザンベジ河沿いに位置している。手前がザンビア、対岸がジンバブエだ。

ロウワー・ザンベジのチョングウェ・リバー・キャンプでのランチ風景。川面を走る風が実に心地よかった。気温も高すぎず低すぎず、快適そのもの。
ロウワー・ザンベジのチョングウェ・リバー・キャンプでのランチ風景。川面を走る風が実に心地よかった。気温も高すぎず低すぎず、快適そのもの。

ダイニングエリアのすぐそばの木にやってきたオニヤマセミ。アフリカ大陸最大のカワセミだ。
ダイニングエリアのすぐそばの木にやってきたオニヤマセミ。アフリカ大陸最大のカワセミだ。

ロウワー・ザンベジ名物の一つがボートサファリ。
ロウワー・ザンベジ名物の一つがボートサファリ。

川辺には巨大なワニやカバ、多くの水鳥などがいる。
川辺には巨大なワニやカバ、多くの水鳥などがいる。

野鳥を激写中の参加者の皆さん。
野鳥を激写中の参加者の皆さん。

川岸の崖に巣を作るシロビタイハチクイ。
川岸の崖に巣を作るシロビタイハチクイ。

草を食むケープバッファロー。ボートサファリだと自分の目線が非常に低い上に動物たちの警戒心もゆるいので、車からの時とはまったく違った写真が撮れる。
草を食むケープバッファロー。ボートサファリだと自分の目線が非常に低い上に動物たちの警戒心もゆるいので、車からの時とはまったく違った写真が撮れる。

夕方、ザンベジ河を渡る二頭のオスのゾウをボートから撮影。
夕方、ザンベジ河を渡る二頭のオスのゾウをボートから撮影。

河の中は光を遮るものがない上、様々な方向から撮影できるので面白い。
河の中は光を遮るものがない上、様々な方向から撮影できるので面白い。

ロウワー・ザンベジではボートのみならず、カヌーサファリもできる。基本的にガイドが漕いでくれるが、自分で漕いでみたければそれも可能。
ロウワー・ザンベジではボートのみならず、カヌーサファリもできる。基本的にガイドが漕いでくれるが、自分で漕いでみたければそれも可能。

音もなく水面を進むカヌーからカバの群れを見ると、モーターボートの時とは違う印象を受ける。
音もなく水面を進むカヌーからカバの群れを見ると、モーターボートの時とは違う印象を受ける。

ロッジのラウンジにやってきたゾウ。大好きな木の実を食べるため、毎日何頭もが入れ代わり立ち代わり訪れていた。
ロッジのラウンジにやってきたゾウ。大好きな木の実を食べるため、毎日何頭もが入れ代わり立ち代わり訪れていた。

チョングウェ・リバー・キャンプの部屋。テントタイプだが非常に快適。写真はシングルのもの。シャワーは24時間お湯が出るし、電源もあるのでカメラ等の充電は問題なくできる。
チョングウェ・リバー・キャンプの部屋。テントタイプだが非常に快適。写真はシングルのもの。シャワーは24時間お湯が出るし、電源もあるのでカメラ等の充電は問題なくできる。

ゲームドライブで出会ったライオンたち。車が近づいてもまったく気にしていなかった。
ゲームドライブで出会ったライオンたち。車が近づいてもまったく気にしていなかった。

ロウワー・ザンベジはサウス・ルアングワに比べると植生が濃いので、陸上での撮影は若干難易度が高いと感じた。
ロウワー・ザンベジはサウス・ルアングワに比べると植生が濃いので、陸上での撮影は若干難易度が高いと感じた。

同じ場面も広角から超望遠まで、様々な画角で撮ることでバラエティーに富んだ写真が撮れる。写真はニコンのCOOLPIX B700の最大望遠で撮影。
同じ場面も広角から超望遠まで、様々な画角で撮ることでバラエティーに富んだ写真が撮れる。写真はニコンのCOOLPIX B700の最大望遠で撮影。

立派な角を持ったグレータークドゥのオスたち。
立派な角を持ったグレータークドゥのオスたち。

ナイトドライブで見かけたシロオマングース。完全に夜行性なので日中は絶対見ることのできない種だ。
ナイトドライブで見かけたシロオマングース。完全に夜行性なので日中は絶対見ることのできない種だ。

こちらも完全に夜行性のオオブチジェネット。ガイドがチューチューとネズミの鳴き真似をすると、車のそばまで寄ってきた。
こちらも完全に夜行性のオオブチジェネット。ガイドがチューチューとネズミの鳴き真似をすると、車のそばまで寄ってきた。

チョングウェ・リバー・キャンプには、夜行性動物を撮影できる観察小屋がある。夕食後、中で待ち構えていたらタテガミヤマアラシとブチハイエナがやってきた。
チョングウェ・リバー・キャンプには、夜行性動物を撮影できる観察小屋がある。夕食後、中で待ち構えていたらタテガミヤマアラシとブチハイエナがやってきた。

ザンベジ河の岸辺には、多くの巨大なバオバブが立っているエリアがある。
ザンベジ河の岸辺には、多くの巨大なバオバブが立っているエリアがある。


山形豪
■ツアー詳細 : 山形豪さんと行く ベストシーズンのザンビア 写真撮影ツアー 10日間

WILD AFRICA 35 動物写真とソーシャルメディア

アフリカの動物の中でもヒョウは個人的に好きな被写体で、これまでも頻繁に撮影してきたが、子供や親子の姿を写真に収めるのは中々難易度が高く、あまりいいものは撮れていなかった。ヒョウは警戒心が強く、人目に触れる場所に子を連れ出すことがあまりないし、子供の成長が早いので撮影できる期間も限られているからだ。
そんな中、数年来頻繁に訪れているボツワナのマシャトゥ動物保護区で、3頭のメスのヒョウにほぼ同時に子供が生まれ、それらが元気に育っているという情報が入ってきた。この春くらいから、現地でいつも世話になっているガイドや、南アフリカ人の写真家仲間らのフェイスブック投稿が、子ヒョウの画像だらけになったのだ。私は居ても立っても居られなくなった。何しろ母親3頭のうち2頭は、とても車慣れしていることでよく知られており、サファリカーが近づいても逃げ隠れしないので、3〜4日あれば親子の姿が撮れる公算が極めて高かった。そこで7月中旬、南アフリカ経由でボツワナに入りマシャトゥで4泊した。結果は予想どおりで、首尾よく撮影に成功した。写真はそのうちの一枚だ。
インターネットとスマートフォン、そしてソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の発展/普及は、世の中に実に多くの変化をもたらしている。それは自然写真の現場も例外ではない。様々な撮影地の情報が、場合によってはほぼリアルタイムで手元に届くようになったのだ。これまでは文献や口づてが頼りだったため、情報の“鮮度”や“精度”に問題があり、実際に現地に行ってみるまで分からないという不確定要素の部分が大きかったが、それらがかなり解消された感がある。
一方、あまりにも多くの情報がネット上に溢れ、ゴミと有益なものとを取捨選択するための、ある種のリテラシーが要求されるようになったのも確かだし、自分が日本から出られない状況にある時に、友人知人がアフリカのフィールドで楽しくやっているのを目にするのは、悔しさとフラストレーションの元にもなる。また、様々なサービスが次々登場するので、いちいちついていくのも楽ではない。現在のところ、私もフェイスブックとインスタグラムを使っているが、正直手一杯だ。
ちなみに、マシャトゥへは来年2月にツアーを予定している。ヒョウは生後1歳半ほどで独り立ちするので、生き残ってくれていれば、まだ母親と共にいる大きくなった子供たちの姿を見られるだろう。
撮影データ:ニコンD500、AF-S Nikkor 80-400mm f/4.5-5.6G VR、1/160秒 f/6.3 ISO800
文・写真 山形 豪さん

やまがた ごう 1974年、群馬県生まれ。少年時代を西アフリカのブルキナファソ、トーゴで過ごす。高校卒業後、タンザニアで2年半を過ごし、野生動物や風景の写真を撮り始める。2000年以降は、南部アフリカを主なフィールドとして活躍。サファリツアーの撮影ガイドとしても活動している。写真集「From The Land of Good Hope(風景写真出版)」、著書に「ライオンはとてつもなく不味い(集英社新書ヴィジュアル版)」がある。www.goyamagata.com

WILD AFRICA 34 サファリに最適な撮影機材とは?

サファリにいくとき、どんな撮影機材をどれだけ持っていくかというのは悩ましい問題だ。何しろ昨今市場に出回っているカメラやレンズの種類はあまりにも多く、何を選べばよいのかが非常に分かりづらい上に、撮りたい写真のタイプによっても必要な機材は変わってくる。また、飛行機に搭乗する際、カメラ類は全て機内持ち込みにせねばならないが、最近どの航空会社も重量制限に関してずいぶんうるさくなった。撮影講習会などで参加者からもっとも多く出る質問も、サファリにどんな機材を持っていけばよいかについてだ。
中でも一番難しいのがレンズの選択だ。サファリには倍率の高い望遠レンズは不可欠だが、高すぎるとフレーミングがとても困難になるし、サイズも大きくなるので運搬や取り扱いも大変だ。ボディにしても、やはり大き過ぎると持ち運びが面倒で、扱うのが億劫になる。つい最近まで私は500mm f/4という大型レンズにニコンD4という、これまた大きなボディをつけていた。倍率や画質は理想的だったのだが、そのサイズと重量故に撮り逃した写真も多かった。
現在撮影ツアーなどで主に使用している機材は、ボディがニコンD500とD810の2台、レンズは望遠側がAF-S 80-400mm f/4.5-5.6、広角側がAF-S 24-70mm f/2.8もしくはAF-S 16-35mm f/4だ。D500は小型ながら高速オートフォーカスと秒間10コマという連写速度を有しており、DXフォーマット(APS-Cサイズのセンサーを搭載)であるため、80-400mmと組み合わせることで、35mm版の600mmに相当する画角を得られる。これは素早い動きをする被写体のアクションショットを撮るのにとても有効だ。この3月に行ったボツワナ、マシャトゥ動物保護区のツアーでも、追いかけっこをするチーターの兄弟を、手持ちで難なく撮影することができた。一方のD810は超高画素機なので、細かなディテールの描写が必要な風景や引きの写真を撮るために使っている。
最高級のカメラやレンズを手に入れれば、いい写真が撮れるかもしれないと思うのは人の心理として当然なのだが、値段がとても高い撮影機材は、得てしてサイズや重量も巨大だ。果たしてサファリの現場でそれらが使いこなせるのかどうか、本当に必要なのかどうか熟慮を要する。むしろある程度小型のものの方が、機動性と即応性に優れるため、歩留まりはよくなると私は最近感じている。
撮影データ:ニコンD500、AF-S 80-400mm f/4.5-5.6G VR、1/2000秒 f/8 ISO800
山形豪さんの写真展を各地で開催中!
南部アフリカ 動物たちの最驚楽園 Go Wild!
■富士フィルムフォトサロン 大阪スペース1
8.11(金)~17(木)10:00~19:00(最終日は14:00まで)

やまがた ごう 1974年、群馬県生まれ。少年時代を西アフリカのブルキナファソ、トーゴで過ごす。高校卒業後、タンザニアで2年半を過ごし、野生動物や風景の写真を撮り始める。2000年以降は、南部アフリカを主なフィールドとして活躍。サファリツアーの撮影ガイドとしても活動している。写真集「From The Land of Good Hope(風景写真出版)」、著書に「ライオンはとてつもなく不味い(集英社新書ヴィジュアル版)」がある。www.goyamagata.com

2017.2.15発 山形豪さんと行く 2月のタンザニア・ンドゥトゥ 写真撮影ツアー 12日間

2月15日から26日まで、セレンゲティ平原南部にあるンドゥトゥへの野生動物撮影ツアーをガイドさせていただいた。日程はンゴロンゴロ・クレーターで2泊、ンドゥトゥで5泊、タランギレ国立公園で1泊というもので、実に多くの動物たちの、様々な場面を撮ることができた。
まず訪れたのはンゴロンゴロ・クレーター。ここはどの季節に行っても絶対に多くの動物がいる。ライオン、ゾウ、クロサイ、バッファロー、カバなどなど、チーターとヒョウ以外の主だった大型哺乳類を一気に見ることができる素晴らしい場所だ。また、2月は鳥たちにとっても繁殖期であるため活性が高くて楽しい。

ンゴロンゴロ・クレーター
ンゴロンゴロ・クレーター

ライオンの親子
ライオンの親子

寝転がるライオンを撮影中
寝転がるライオンを撮影中

卵を守るクロハゲリ
卵を守るクロハゲリ

のんびり草を食むシマウマ
のんびり草を食むシマウマ

喉を膨らませ、メスを呼ぶアフリカオオノガン
喉を膨らませ、メスを呼ぶアフリカオオノガン

クロサイ
クロサイ

ンゴロンゴロ・セレナロッジの部屋
ンゴロンゴロ・セレナロッジの部屋

緑豊かなンゴロンゴロ
緑豊かなンゴロンゴロ

クレーターには大きなゾウも多い
クレーターには大きなゾウも多い

巣作りをするミミヒダハゲワシのペア
巣作りをするミミヒダハゲワシのペア

車の脇までやってきたオスライオン
車の脇までやってきたオスライオン

ライオンを避けるブチハイエナ
ライオンを避けるブチハイエナ

くつろぐカバ
くつろぐカバ

クレーターでの昼食
クレーターでの昼食

ドライバーのジェレミア
ドライバーのジェレミア

カンムリヅル
カンムリヅル

セネガルショウビン
セネガルショウビン

ンドゥトゥは、セレンゲティ大平原の南部に位置する湖で、雨季にあたる2月に、大移動の途中でヌーたちが一斉に出産するエリアだ。草食獣の出産に合わせてライオンやチーターなどの肉食獣も子育てをすることから、この時期のンドゥトゥでは肉食獣の捕食行動や、子供の姿を目にする可能性も高い。実際、今回の旅では生後数日のライオンの赤ちゃんを見るという幸運に恵まれた。
さらに、動物の撮影をする上で、ンドゥトゥには大きな魅力がある。それは車の移動範囲が道路に限定されないという点だ。広大な平原を縦横無尽に走り回り、チーターなどを探すことができるのだ。そのおかげで今回、子連れの母親も含め、10頭以上のチーターに出会い、獲物を捕らえるには至らなかったものの、チェイスも3回見ることができた。

アカシアを食べるキリン
アカシアを食べるキリン
まるで乾季のような平原
まるで乾季のような平原

獲物を食べるチーター
獲物を食べるチーター

餌を巡って争うミミヒダハゲワシ
餌を巡って争うミミヒダハゲワシ

水を飲むチーター
水を飲むチーター

チーターと目が合う
チーターと目が合う

生後数日のライオンの赤ちゃん
生後数日のライオンの赤ちゃん

メスライオンの目
メスライオンの目

じゃれる若いチーター
じゃれる若いチーター

ジャッカルを追いかけるチーター
ジャッカルを追いかけるチーター

ただし、タンザニア北部は昨年来の旱魃の影響で、我々がタンザニア入りした時点では雨がほとんど降っていなかった。ンドゥトゥ到着初日の光景は、まるで乾季の最中のような有様で、そのためヌーの大群は影も形もなかった。そこで2月22日にはセレンゲティ国立公園のセロネラまで足を伸ばした。目的はヌーの群れの位置を確認すること、そしてヒョウを探すこと。ヌーたちはセロネラとンドゥトゥのおよそ中間にあるシンバ・コピーと呼ばれる岩場のあたりにいた。そしてセロネラ谷では、首尾よくヒョウの姿を拝むことに成功した。
シンバ・コビー周辺のヌーとシマウマ
シンバ・コビー周辺のヌーとシマウマ

ジャンプするヒョウ
ジャンプするヒョウ

皆ヒョウを撮るのに夢中
皆ヒョウを撮るのに夢中

何かを見つめるヒョウ
何かを見つめるヒョウ

ヌーを食べるライオン
ヌーを食べるライオン

天気は22日夕方から一気に雨模様となり、23日の朝、ンドゥトゥ周辺では凄まじい大雨が降った。ゲームドライブに出た我々はこの日、3回も泥にスタックしたが、この雨のおかげで、それまで土と枯れ草しかなかった大地が辺り一面の緑へと変貌した。それに伴い、シンバ・コピー付近にいたヌーたちが一斉に南下し、最終日、我々がンドゥトゥを去る日には幾つもの群れがやってきた。ンドゥトゥ湖にも水が張り、それまで一羽もいなかったフラミンゴまでが姿を現していた。そのような劇的な変化を目撃できたのは幸運だったが、近年、気候変動の影響がアフリカのこの地域でも顕著になっており、これまでの季節性がどんどん失われているのは間違いない。
大雨でぬかるみにスタックした車
大雨でぬかるみにスタックした車

ンドゥトゥ・サファリロッジの部屋
ンドゥトゥ・サファリロッジの部屋

ロッジのマスコット、ジェネット
ロッジのマスコット、ジェネット

緑になった平原と南下してきたヌー
緑になった平原と南下してきたヌー

最終日を過ごしたタランギレ国立公園は、そこかしこにそびえるバオバブの巨木と、数多く生息するゾウで有名な場所だ。個人的には部屋のすぐ近くの木で巣作りをしていたボタンインコと、ロッジのテラスから見た朝もやの中のサバンナがとても印象的だった。
タランギレ国立公園のバオバブとゾウ
タランギレ国立公園のバオバブとゾウ

木のうろに巣を作るキエリボタンインコ
木のうろに巣を作るキエリボタンインコ

ロッジのテラスから見た朝もやの中のサバンナ
ロッジのテラスから見た朝もやの中のサバンナ

山形豪

WILD AFRICA 33 チョベ川でのハウスボート・サファリ

ボツワナの北端には、ゾウやカバが多いことで知られるチョベ川が流れており、沿岸の一部は国立公園となっている。対岸はナミビアだ。去る11月、このチョベでハウスボートに4泊する機会を得た。ハウスボートとは、その名の通り水に浮かぶ家のようなもので、陸上のロッジに宿泊する代わりに船上で寝泊まりしながらサファリを楽しめるようになっている。
ハウスボート・サファリでは、車ではなく小型モーターボートに乗って動物たちを探しに行く。水鳥も岸辺の哺乳類も、水上から接近するものに対しては警戒心が薄いため、陸上からのときよりも撮影はずっと楽だ。しかも座るポジションが水面にとても近く、自分の目線が動物と同じか、さらに低いのでダイナミックな写真が撮れるし、周囲に木や草などの遮蔽物がないのもありがたい。カバのような水の生き物はもとより、喉の渇きを癒しにやってくる草食獣や、それらを狙うライオンなどの活動も川辺に集中するので、撮影の歩留まりは想像以上だった。
いつも述べていることだが、サファリでは、光が一番綺麗で動物の活性も高い日の出直後と日没直前が一番肝心だ。その時間帯には現場で被写体を目の前にしていたいのだ。これが陸上だと意外に難しい。朝、車に乗り込んで出発し、被写体を見つけるまでにどうしても時間がかかるし、夕方は夕方で国立公園内では、暗くなる前に宿泊施設に戻らなければならないという規則があるからだ。その点チョベのハウスボートは、国立公園となっているエリアの対岸(ナミビア側)に船を係留してくれる。つまり寝泊まりする場所がフィールドの中にあるので時間の無駄がほとんどないのだ。しかも見通しの効く川辺では被写体を見つけるのにもさして苦労しないため、早朝のよい光を最大限活用できるし、夕方も暗くなる直前まで撮影に臨める。
今回利用したのは部屋数5、最大乗客数10という船で、1階デッキが客室、2階がダイニングエリア兼ラウンジ、そして3階がサンデッキという構造になっていた。内部の設備等は一般的なロッジに何ら引けを取らないもので、電気も24時間使えるし、バーはセルフサービスで飲み放題と、快適そのものだった。また、船の係留場所を変える際の移動速度はいたって遅く、揺れもまったくない。デッキで横になって酒を飲みながらのんびりと目の前を通り過ぎてゆくサバンナの景色や動物を眺めるのはオツなものだ。陸上のサファリもいいが、一味違った趣と開放感を味わいたい人にもハウスボートはお勧めだ。
撮影データ:ニコンD500、AF-S Nikkor 80-400mm f/4.5-5.6G
朝、川辺で草を食むケープバッファロー
写真・文  山形 豪さん

やまがた ごう 1974年、群馬県生まれ。少年時代を西アフリカのブルキナファソ、トーゴで過ごす。高校卒業後、タンザニアで2年半を過ごし、野生動物や風景の写真を撮り始める。2000年以降は、南部アフリカを主なフィールドとして活躍。サファリツアーの撮影ガイドとしても活動している。写真集「From The Land of Good Hope(風景写真出版)」、著書に「ライオンはとてつもなく不味い(集英社新書ヴィジュアル版)」がある。www.goyamagata.com