サハラ砂漠に落ちた雷で作られる「雷管石」

サハラ砂漠に落ちた雷で作られる「雷管石」

このところ、毎年のように夏を騒がせる「ゲリラ雷雨」。落雷で亡くなる人も年々増えているようで、遠くに雷の音が聞こえただけでも注意しなければならなくなってきました。

“雨が全く降らない”というイメージのある砂漠でも、イメージに反して年に数回は大雨が降ります。さらにイメージに反して、激しい雨は砂が水を吸い込む許容量を簡単にオーバーし、鉄砲水となってオアシスに暮らす人々に被害を及ぼすこともあります。また、激しい雨は時に雷をともない、もちろん砂漠にも雷は落ちます。
激しい雷が砂漠に落ちるとどうなるのでしょうか?
「地面に雷が落ちたら、人も、動物も、木や草もないのだから、ただそれだけのことで、何事も起こらないに決まってるでしょ?!」、普通はそう考えるでしょう。ところが、サハラ砂漠などで落雷があると、石英の多い砂が6億ボルト(!)もの落雷のエネルギーで溶解し、電流が流れた砂の部分が通路のようになって、その周辺の砂が流れた電流を包むかのような、管状にガラス化した石ができるのです。これは砂漠の表面から地中、縦方向に管状の石ができます。大きさはまちまちですが、この石は『雷管石』あるいは『Fulgurites』と呼ばれています。
写真は私がエジプトのグレート・サンド・シーで見つけたものです。他にもここでしか見つからない、持ち出し禁止の天然ガラス『シリカ』などが落ちている地域なのですが、私としてはこちらの方に興味がありました。砂漠のエキスパートであるドライバーたち曰く、「ラクダのおしっこ」(私も最初は信じていました 笑)。
形状は様々。比較的まっすぐな管状のものや、枝状に分かれた形状のものなど、それぞれ不思議な形状をしています。枝分かれする場合は、ちょうど木の根のように深いところが枝に分かれる形になります。管の内部はヒダになったり、無数の気泡ができていたりします。
気泡は石英が溶融した際に発生したガスによるもので、雷管石の特徴です。石英の溶解温度は1710℃だそうで、この温度をはるかに超える熱が発生しなければ、このような石はできないとか。雷の一瞬のエネルギーには、この温度をはるかに超える高温を発生させるエネルギーがあるということですね。発見される場所は、主にサハラ砂漠、アメリカ西海岸などらしいですが、実は日本でも発見されているとのこと。しかもなぜか北海道で。
サハラ砂漠、特に岩山の少ない砂丘地帯に足を運ばれた際には、是非探してみてください。この石は持ち帰りOKですので。
東京本社 羽鳥
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