マリを知るための58章

「○○を知るための○○章」シリーズの最新作として
「マリを知るための58章」が11月15日に出版されます!

歴史、民族、4つの世界遺産、文化、食事、音楽などなどいずれもこれぞマリ!という内容がそれぞれの章で紹介されていて、かなり充実した一冊。
歴史ひとつをとっても、当時ヨーロッパで「金がにんじんのように採れる」と噂にもなったガーナ王国、マリ帝国の始祖であるスンジャタ・ケイタ、エジプトの金を暴落させたという王様のメッカへの巡礼などたくさんの逸話が残るマリ。
いくつもの王国が繁栄をとげた華やかな歴史があるからこそ、マリの人たちは自身の国に誇りをもてるのだろうと想像できます。
また身近に感じることのできる、食のこと、布のことについての話も面白く、マリの人が「食道楽、着道楽」と呼ばれる理由がよくわかります。
お勧めの一冊です。
by KQ

アフリカ21世紀

アフリカ関連の書籍はかなり古いものから新しいものまでたくさん読みましたが、比較的最近のものでお気に入りの1冊をご紹介。

最近といっても出版は2002年で、「アフリカ21世紀~内戦・越境・隔離の果てに~」という少し重いタイトルですが、現地でインタビューを受けた人たちの言葉が非常に興味深かったです。
特にその中の「セネガル・マリ~越境するイスラム」という章は、西アフリカでのイスラムのありのままの姿が取材されていて面白い内容です。
西アフリカでイスラムが浸透した理由、アフリカの伝統と結びついたイスラム、それぞれの国のイスラムの独自のかたちなど。
マリとセネガルは、隣り合い、いずれもイスラム教徒が人口の90%を超えるといわれる国ですが、それぞれ信仰のかたちはかなり違います。
セネガルでは「マーム・バンバ」が開祖のムーリッド教団という独自のイスラムが広く信仰されているのですが、このストーリーを読むと今のセネガルの様子がなるほど、と納得できるでしょう。
余談ですが、私の好きなユッスー・ンドゥールの曲「マーム・バンバ」もまさにバンバのことが唄われています(彼ももちろんムーリッド信者です)。
そしてマリでも宗教的指導者であるマラブーや、語り部であるグリオたちの文化がイスラムと結びついて色濃く残っていますが、同時にをそれを守ろうとする人たちの葛藤についても触れています。
マリのジェンネでモスクに入って写真を撮ろうとする外国人観光客の行為に対する長老そして筆者の一文が印象に残りました。
’村長は言う。
「イスラムでない人がモスクに用事はないでしょう。ただ祈るための場所なんですから」
彼らが守りたいものと西洋が守りたいもの、そこに溝がある’
アフリカのことを勉強したい人にぜひ読んでいただきたい一冊です。
by KQ

イラストレイテッド・アトラス 探検と冒険の歴史大図鑑

大きな書店の図鑑コーナー。
私はここが大好きなんです(笑)。

家族が買い物等回っている間、大抵はここで積まれた図鑑を手に取りニヤニヤ・・・
(普段もニヤついていますが気にしないで下さいませ)
そこで見つけた今回ご紹介する書籍(図鑑)は、コチラ!
「イラストレイテッド・アトラス 探検と冒険の歴史大図鑑」
イラストレイテッド・アトラス 探検と冒険の歴史大図鑑
イラストレイテッド・アトラス 探検と冒険の歴史大図鑑

どうです、この強そうなネーミング。
第一部:古代から1,500年前後
第二部:1,500年から1,900年代
第三部:最後の領域
と、三部に分けて詳しく案内されています。これまた詳しいイラストが大迫力だったりします。
ちょっとお値段が張りますが(9,720円也)、古代エジプトのハルクハフやローマ帝国のアフリカ探検、プレトマイオスの地理学に
ディアスの喜望峰やアフリカ西岸探検、リビングストンの探検ルートや著名100人の探検家案内など見所満載です。
第三部では、極地探検から深海、宇宙まで目指します。
今年の5月に出版されたばかりですので、大きめの書店に行くと
置いてあると思います。
週末の秋の夜長、じっくり見てみませんか?
by 久世

アフリカ・ガイドブックあれこれ

ガイドブック大国の日本。
そんな日本でも、アフリカ方面のガイドブックとなると、お目当ての国が無かったりしませんか?
海外ではロンリープラネットやプティ・フュテ、ブラーツ辺りでしょうか。

DSC_0051
日本のガイドブックと海外のガイドブックを開いてみますと、一番の違いは「写真」の多さでしょう。
どちらが優れているかどうかはまた別のお話としますが、香港在住の友人が話していてびっくりしたのは、添付写真の左下にある昭文社のエアリアガイドが中国語版として色々な国のガイドブックとして販売しているとのことでした。(このエアリアガイドは非常に古いものです…笑)
右下の旅行人ノート・アフリカ。これもかなり歴史がありまして、再販を繰り返しています。内容はロンリープラネットに一番近いかも知れません。
そして右上の地球の歩き方、知名度では一番でしょうか。
昔はページの端が青く色が付いていて、これを手にしたバックパッカーがナイロビでも見受けられました。旅行者からの投稿情報が多いのも昔から変わりません。
そして最後に左上。がんばったな~、るるぶ!
ついにエジプト以外で出しました。南アフリカをメインにジンバブエとナミビア!
どんなガイドブックでもアフリカの国がメディアとして取り上げていくと嬉しいです。
by 久世

謎の独立国家ソマリランド

高野 秀行著(2013年出版:本の雑誌社)
2013年の講談社のノンフィクション賞受賞作品ですので、すでに読まれた方も多いかもしれません。

まず、ソマリランドと聞いてピンと来ない方も、ソマリアと聞くとご存知の方も多いのではないでしょうか。
ソマリランドは、現在無政府状態が続くソマリア連邦共和国の一つとされています。実質、単独の国として機能していますが、国際社会からは国家としては承認されていません。
ソマリアと聞くと、映画「ブラックホーク・ダウン」や最近では、「キャプテン・フィリップ」で描かれている無秩序、内戦、海賊といったあたりが、一般的なイメージではないでしょうか。その要素は、現在もソマリア連邦国として抱える解決し難い大きな問題ですが、本書で舞台となる、ソマリランドでは、上記のイメージとは全く異なる世界が広がっています。
著者が取材するに当たって、まず「ソマリランド」とインターネットで検索する所から始まり、嘘みたいな数珠つなぎで、キーパーソンからキーパーソンへとつながり、旅が紡がれていく様子は、一人旅の王道の醍醐味があり、また、ソマリアを、引いては現行のイスラム問題を理解する上で重要な氏族制についても、ユニークな表現で非常に分かりやすく理解できます。そして何といっても、郷に入って郷に従う取材スタイルで得られた現地の貴重で活きた情報は秀逸です。
旅行記を読んでワクワクした気持ちになったのは、深夜特急を読んで、バックパック旅行に出かけた10数年来振りかもしれません。
まだ読まれていない方は、是非一度読んでみて下さい。
by 荒木