アフリカ絵日記その17 旅行者が目にする風景とは?

アフリカ絵日記その17 旅行者が目にする風景とは?

ザンベジ川を渡ってジンバブエからザンビアへ入国。暑い。安宿のベッドは夜まで熱を持っていて、横になるだけで汗が出る。仕方ないので、ホテルなのにコンクリートの地面にゴザを敷き、その上に寝転がり、濡れタオルを裸の腹の上に乗せて寝た。これではキャンプのほうが快適かもしれない。
ザンビアでは大きな町を通ることはなく、田舎町だけを走る日々が続いた。レストランで食べられる食事はシマ(ウガリ)定食のみ。昼にシマを食べたら夜はもう食べたくない。市場で買った豆の缶詰のほうがマシだぜ。そんなことを言うのは贅沢なボヤキだった。この典型的なアフリカン定食が普通に食べられるのは、実はもう最後のチャンスだったのだと後日、思い知ることになる。
やがてビクトリア・フォールの拠点の町、リビングストンに到着した。町には巨大スーパーマーケット、ファーストフード店が並ぶ。そして突然降って湧いたように現れた白人バックパッカーの群れ。彼らのザックは埃にまみれ、かなり長い間アフリカの旅をしているように見える。でも、今まで彼らはどこを旅していたんだろう?自転車旅行をしていると、普通の旅行者やバックパッカーにほとんど会わない。彼らが目にする風景は、僕のそれとはずいぶん違うんだろうな。いい意味でも悪い意味でも。今まではこのような都市を出ると、再びアフリカンな食生活の風景にすぐに戻った。でも今回は違った。この町を出ると、ウガリやシマを出すような食堂はもう見られなくなった。
文・画 吉岡健一