自転車の旅はマリからブルキナファソへと続いています。
さて、旅行するにあたり水の確保は一番の重要ポイントですが、自転車でアフリカを旅行しているとミネラルウォーターがいつも手に入るとは限りません。時には現地の方が飲んでいる井戸水を分けてもらうことになります。「そんな水を飲んで、お腹を壊さないのか?」と思われるでしょうが、もちろん壊れるときは壊れますよ(笑)
西アフリカでは、かなり小さな村でも手動ポンプの井戸を見かけました。ただし、それは集落や村で1つだけというような、村人たちの共同井戸です。水を汲んで来るのは女性の仕事。小さな女の子からお母さんまで、いつも水汲み場はガヤガヤと賑わっています。黄色いポリタンクやバケツを両手に抱えて、長い行列ができていることもしばしば。そんな横を自転車で通りかかると、いつも手を振って声をかけてくれました。そして、最前列へ通され、貴重な水をたっぷり分けてくれました。こちらも喉がカラカラですので、その場で一気飲み。これが冷たくておいしい!「どーだ、ここの水はおいしいでしょう?」多分そんなことを言っているんだなと解釈しつつ、「おいしい、最高!」と日本語で返す。しばしの間、カラフルな衣装をまとった女性達に囲まれて楽しいひとときを過ごし、再び自転車に跨って走り出す。「アフリカの水を飲んだ者はアフリカに戻る」。そんな言葉もありました。またひとつ、自分の体がアフリカの大地になじんできた気がしました。
文・画 吉岡健一