先日、BBCでブードゥー教についての特集が紹介されていました。
簡単に言えば、おどろおどろしいイメージを持たれているブードゥー教、それは誤解ではないか?という内容のものです。
そのイメージのもととなるのが「動物の生け贄」であり、そしてブードゥー教を題材にしたホラー映画のヒット、そういったものから来ているのではないかと。
そもそもブードゥーは、ベナンで生まれたヴォドンと呼ばれる民間信仰が、ベナンから連れ出されてカリブ海へ渡った奴隷たちにより広まったものです。
実際、ブードゥーの聖地のひとつウィダでは、日本だとゆるキャラになりそうなユニークな銅像があちこちにあり、宗教指導者と呼ばれる方のお宅にもおじゃましましたがおどろおどろしい印象は全く感じられませんでした。
年に1度のブードゥーフェスティバルを見学させて頂く機会もありましたが、その会場では多くの着飾った人たちが集まり、カラフルな’精霊たち‘が踊り、ドラムが鳴り響く、というアフリカらしいお祭りの印象を受けました。
生け贄が神に捧げられて血が流れる、という多くの外国人たちが‘期待する’場面は最後の何分かだけのものでした。
BBCの特集で宗教指導者が語るように「生け贄は何もブードゥーに限った儀式でもなく、黒魔術的イメージも外国の人たちが作り上げたものである」ことは間違いないでしょう。
By KQ
上野動物園のハシビロコウを撮ってみた(2回目)
映画『La Pirogue / ピローグ(丸木舟)』
先日、出張の際に乗ったエチオピア航空。その機内でたまたま観た1本の映画が忘れられない1本でしたので紹介します。
2012年に制作された映画で、監督はムッサ・トゥーレ。セネガル人の映画監督の手による、セネガルを舞台とした、正真正銘のアフリカ映画です。
冒頭、のっけからサバールの太鼓の音が鳴り響く。岩のように鍛え抜いた身体の2人の男が向かい合って対峙する。Laamb(セネガル相撲)の試合のワンシーン。太鼓の音がテンポを上げて、見ている観客たちもたまらず踊りだす。映画が始まって5分も経っていないのに、画面に映るのが濃厚なセネガル臭100%で嬉しくなります。
主人公はセネガル南部の漁村に暮らすバイライという漁師の青年。毎日ピローグ(丸木舟)を操り、漁に出て真面目に妻と息子を養う日々。そんな彼が、ある理由からヨーロッパまで渡る不法移民の舟の舵取りを任されます。セネガルやマリといった西アフリカを旅行されたことのある方にはお馴染みのピローグ船にエンジンを付けたもの。あんな小舟で、命がけで大西洋を北上し、ヨーロッパを目指します。
セネガルやガンビア、ギニアビサウ、各地域から希望を抱いて集まってきた30人の不法移民の人達が、寄り添うように一艘のピローグ舟に乗り込みますが、ウォロフ、フラニやフータ、ルブーといった異なった出自の人々は言葉も違えば、宗派も違う。コミュニケーションもままならないまま、航海を続け、そして船は嵐に見舞われて…、というのが大まかなストーリーです。
本作は西アフリカからヨーロッパに渡る不法移民のビジネスについて描かれていて、航海途中で亡くなった多くの人たちに捧げられている作品なのですが、状況は違えど、ヨーロッパでもアメリカでも、そしてここ日本でも、多くのアフリカの人々が海を渡ってきます。出発前に主人公のバイライが、友人を諭すように、セネガルに残って家族と暮らすこと以上に幸せな事なんかない、と力説しますが、仲間たちはヨーロッパに渡って成功することに夢や希望を抱き続けます。そんな彼らの想いは、これがとても純粋で真っすぐなもので…。
自分の周りにも少なからずいるアフリカの友人たち、そんな彼らが異国の友人には見せない部分を垣間見てしまったような気がして、個人的には前半部分のごくごく僅かなこのシーンに胸を詰まらせられました。明快な答えは用意されておらず、何が正しいか間違っているのかはこの作品では提示されませんが、現実だけをさらっと切り取って見せつける作風が、文字通り心に突き刺さりました。
2012年の作品で日本公開もされておりませんし、字幕も仏語と英語くらいしかありません。DVD化はされていますが、入手は海外からの取り寄せか、有料映画サイトで見つけるしかなさそうな作品です。すぐにチェックするにはハードルの高い1本ですが、是非じっくりと向き合ってほしい1本です。
『La Pirogue / ピローグ』(予告編)
by 生野
南部アフリカのビルトン(干し肉)
南部アフリカを旅行される機会があれば、是非試していただきたいのがビルトン(干し肉)です。
牛だけではなく、オリックス、スプリンボック、インパラやダチョウなど、色々な種類の肉が売られています。
スーパーで小売りのパックのものも売っていますが、町のお肉屋さんで、吊るし売りされているものがお勧めです。
古代から保存食として重宝されてきた干し肉ですが、先人達が紡いできた味への探求が、現在へと継承されています。
素材の鮮度はもちろんのこと、微妙な塩加減、干し加減、中には自ら仕留めた獲物の肉を使っている所など、店により差異がありますので、美味しいお店は、地元の人に尋ねるのが一番です。
by 荒木
2017.8.6発 ディスカバー・ジンバブエ・キャンプ 14日間
8月にジンバブエのキャンピングツアーに同行させて頂きました。
ジンバブエと聞くと、ハイパーインフレによる超高額紙幣(ジンバブエドル)が記憶に新しい方もいるかもしれません。2000年頃から10年間近く、国の政策の失敗により経済が大きく下降し、また、08年にはコレラの大流行などもあり、なかなか旅行者が簡単に旅行出来る環境ではありませんでした(ビクトリアフォールズは除く)。ただ、近年、経済も少しずつ安定を取り戻し、ようやく旅行者も戻りつつあります。
そのジンバブエを約2週間、キャンプ泊をしながら巡ってきました。
まず訪れたのは、北部にあるマナプール国立公園です。ここは、アフリカで4番目に長いザンビア川に面していて、川の反対側はザンビアになります(ザンビア側は、ロウワー・ザンベジ国立公園です)。
雨季には、川が氾濫し、氾濫原となるこの地域には、水を求めて動物が集まります。
川べりのキャンプサイトからは、四六時中、カバやゾウが観察出来ました。特に夜は、カバが上陸してテントのすぐ裏で草を食んだり、ハイエナの鳴き声が聞こえてきたりと自然の中に身を置く感覚を強く味わう事が出来ました。








ある日のランチの後、ランチを食べて、お茶を飲みながらゆっくりしていると、少し離れた所に一頭のオスゾウが地面に落ちた木の実を器用に鼻で拾い上げながら食べていました。
ガイドに、「たぶんあのゾウは、このままこのテーブルの近くまで拾いに来るけど、驚いて動かないでね」と言われて、じっくりと観察していると、木の実を拾いながら段々と近づいてきます。ついには、テーブルの1m手前まで来て、「食べる所を皆で何をじろじろてるんだよ!」とでも言いたげな鼻息を立てました。流石にこの距離だと、誰も動きたくとも動けませんでした。




ガイドがゾウに語り掛けるように声をかけると、1歩、2歩後ずさり、また何事もなかったように食事を始めました。
ゾウは知能レベルが非常に高くまた警戒心の強い生き物です。過去に自分自身や仲間が傷つけられた経験があれば、決して人に近づくことはありません。この距離は、イコールここに暮らす動物と人の心の距離でもあると感じ、強く印象に残った体験になりました。
マナプールでもう一つ外せないアクティビティーは、カヌーサファリです。
豊かなザンベジ川をカヌーで下ります。
川にはワニやカバが生息していて、また中州には、泳いできたゾウが草を食む姿が観察できました。
ボートは一艇につき2~3人が乗り、ガイドがサポートをしてくれますので、初心者の方でも参加は可能です。ただ、至る所にカバがいる川を進んでいくのは、なかなかにスリリングでしたが。





マナプールを後にして、一路、南下していきます。


次の目的地は、グレートジンバブエです。
国名にもなっているジンバブエは、現地のショナの人達の言葉で「石の家」という意味があります。
詳細は今だ解明されていませんが、11~14世紀にかけて隆盛を極めた、ショナの人達の王国だったと推測されています。
今も残る王や王女の遺跡は、周辺国などにも存在していた同様の王国と比較しても、群を抜いた規模で、また、諸外国との交易品も多数出土しており、そのかつての栄華を、感じる事が出来ました。









次は、ジンバブエ第2の都市、ブラワヨを通過して、マトボ国立公園を訪問しました。
今回、陸路でジンバブエ全土を相当な距離を移動しましたが、驚いたのが交通インフラです。国立公園内はさておき、全ての道路が完舗装、そしてコンディションも大変良い道だったため、移動の負担は、予想よりもはるかに軽く済みました。

マトボ遺跡の見どころは、太古の花崗岩地層が剥き出しになり、長い年月をかけて形成された奇岩群の景観と、クロサイ・シロサイを保護しているエリア、そして、セシルローズのお墓のあるワールドビューになります。
また、サンの人達の岩絵も多数残されており、見応え十分な公園でした。















次に訪れたのは、ワンゲ国立公園。
ビクトリアフォールズからのアクセスも良く、ジンバブエで最も知名度の高い国立公園です。




今回は、なかなか動物に出会う機会に恵まれませんでしたが、ユニークなシーンを観察する事が出来ました。
食事を終えたライオンのメスが水を飲みにくるのを水場で待っていると、二頭の若いオスの兄弟が登場。
しばらく、仲良く水を飲んでいたかと思うと、うちの一頭(お兄ちゃん?)が突如ライオンに向かって突進。
奥のブッシュにいた複数のライオン諸共蹴散らしてしまいました。
恐らく若気の至りで遊んでいるだけだろうとのガイドの話でした。





時には数百頭の群れのゾウが見れることもあるほど生息数が多く、また、そのためにゾウによって木が次々と倒されてしまっている現状も抱えています。
なかなか出会う事が出来ませんが、リカオンも生息しています。今回は、サーバルキャットに出会いました。
旅もいよいよ佳境、ジンバブエ最大の観光地、ビクトリアフォールズへ。
ちょうど訪問した8月下旬は、水量もまずまずで、ダイナミックな景観を見る事が出来ました。



ここでの楽しみ方は、様々なアクティビティーです。ヘリコプター遊覧を始め、バンジージャンプ、ジップライン、ラフティングやライオンウォークなど、色々と用意されています。
SNSなどでも一時話題になったデビルスプールも、ちょうどオープンしていたようですが(水量の多い時期は催行されていない)、残念ながら、向こう3日間満員だったため、ご参加頂く事は出来ませんでした。







オススメは、夕日クルーズです。大きなボートで、ザンベジ川をゆったりと日の入りまで楽しみます。
カバやワニ、場合によっては、水を飲みに来た動物を観察することも出来ます。ドリンク(アルコール含む)も飲み放題です!





今回のツアーで4か所でキャンプを行いましたが、いずれも魅力たっぷりなキャンプサイトでした。
ロケーションは抜群、そして設備も十分。食事も非常に美味しいです。
また、キャンプには欠かせないキャンプファイヤーも秀逸です。日本ではまず手に入らないであろう上質な薪が惜しげもなくくべられます。
今回キャンプ自体が初めてのお客様もいらっしゃいましたが、序盤こそまだ慣れていないこともあったかもしれませんが、中盤以降は、キャンプ生活を十分に楽しんでおられました。
アフリカでキャンプと聞くとすごく大変なイメージを持たれるかもしれませんが、実際は、日本でキャンプするよりもずっと快適で、初めての方にこそお勧めしたいです。






















弊社では、キャンプツアーのラインナップも充実していますので、是非一度ご参加ください!
■道祖神キャンプツアー
※レポート内のお写真は、ご参加の中浦 裕史様からもお借りしております。
荒木