アフリカ絵日記その7 決意のケープコースト

アフリカ絵日記その7 決意のケープコースト

海の香りがした。魚臭い潮の匂い。ガーナを縦断してケープコーストの町に近づいたときのことだ。ダカールで海に別れを告げ、約2カ月ぶりに海の香りを肌で感じて心が躍った。小さな港というか浜には、独特のセンスでカラフルにペイントされた小舟が無数に並び、世界中どこも変わらぬ漁村としての活気、エネルギーを感じさせつつ、アフリカの漁村なのだという空気も持ち合わせていた。
僕は一気にセンチな気分になってしまった。ここがなんとなく、ゴール地点のような気がした。本当はトーゴ、ベナン、そしてカメルーン方面へ進むつもりだったけど、それよりも早くケニア、タンザニアという国を見てみたいと思うようになっていた。毎晩アフリカ大陸の地図を広げ、安ホテルの部屋でワインをちびりちびり飲みながらルートを考える。飛行機で飛ぶなら、ここからが1番スマートな気がした。
正直言うと、カメルーンから南下する自信がなかったのもあるが、まずはケニアを見てみたいと思った。これまでに読んだ多くの紀行文がケニアからビクトリアフォールを経て南アフリカに向かうルートを取っていた。自分もそのルートを辿ってみよう。そんな決意をしたケープコーストの町だった。旅に出てから5回目の満月を、ゲストハウスの屋上から眺めていた。頭の中にゴォーッという飛行機の轟音が聞こえた。
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文・画 吉岡健一